みなみの香草屋 Blog

自然と共に共存し、植物の持つすばらしい力を借り、心身共に健康で過ごせるための、植物療法(フィトテラピー)について

活性

2006年11月25日  ベロ毒素に対する精油の活性とハーブ
2006年11月21日  コーヒーとNK細胞の活性
2006年11月20日  カフェインはアデノシンのアンタゴニスト

ベロ毒素に対する精油の活性とハーブ

● ひまわりが勝手に選んだ植物療法関係の記事一覧です(月別に並べてあります)
植物療法に関係のある記事のもくじ(2005.06.04 〜 現在まで)

今日の最低気温が 1.9度と、とても寒い朝でした。それもそのはず、雲一つない真っ青な空が広がる朝でした。車の窓には、霜が降り、氷ついていましたよ。日中も、この天気は続き、二時頃の気温が 10.3度との事でした。明日日曜日もこの天気が続くそうです。絶好の行楽日和ですね。

下の写真は、昨夜の晩ご飯のおかず。左は、ジャーマンポテト。中央は、キクラゲとタマゴと野菜の炒め物。右は、カブとハクサイのスープ。

20061124ジャーマンポテト 20061124キクラゲとタマゴと野菜の炒め 20061124カブとハクサイのスープ

下の写真、左は、朝の秋田市。雲一つない青空でした。中央は、チョロギ。このチョロギと梅酢を入れたものが、右の写真です。チョロギの梅酢漬け。

20061125晴れわたる空今朝の秋田市 20061125チョロギ 20061125チョロギの梅酢漬け

いつものように、ばっぱが台所で何か作っていました。下の写真、左がその一品。ご覧のように、盛りつけられたのが右の写真です。中央は、納豆とタマゴ入り長芋です。

20061125ダイコンと豚肉の煮物 20061125長芋の納豆タマゴ 20061125ダイコンと豚肉の煮物2

今日の朝刊に、「秋田ふるさと村、O157大量発生 感染源はヤギの糞」という記事が載っていました。これは、かまくらで有名な横手市にある「秋田ふるさと村」で起こった「O157」の原因について書かれている記事でした。とても残念だったのが、動物との触れ合いイベントで発生(4月29日から5月7日)した感染症だからです。

その感染症の原因が「ヤギの糞(ふん)」。現在はすごいですね。よく、テレビの物語で「DNA」鑑定のシーンがでますが、感染者とヤギから検出した大腸菌ベロ毒素のDNA の配列パターンが一致したことで、その原因が特定されたのだそうです。

O157は、腸管出血性大腸菌感染症で、腸管出血性大腸菌が作り出すベロ毒素によって、腸管上皮細胞に作用することで、出血性の下痢などを引き起こす感染症なのだそうです。

その仕組みは、菌体外へ分泌する毒素タンパク質であるベロ毒素が、細胞のリボソームに作用して、タンパク質の合成を阻害することが直接の作用なようです。リボソームは、DNAからの遺伝情報を転写、読み取って、アミノ酸の鎖が作り出され、最終的にタンパク質を作り出す「場」で、とても大切なところ。この合成の中で、ベロ毒素は、アデノシンに作用して糖鎖を切断し、アデニンを取り出す活性を持っているのだそうです。

先日
2006.11.19 プリン骨格とカフェインとアデノシンで、アデノシンの構造を見てきましたが、アデニンにリボースという糖が結合したものでした。ここに作用することで、タンパク質の合成が阻害されるのだそうです。何とも、すごい仕組みになっていますね。

細菌は、染色によって紫色や赤く染まる特性を持っているそうで、紫色に染まるのをグラム陽性菌、赤く染まるのをグラム陰性菌と呼ぶそうです。また、その構造にも特徴があり、一般的には、DNA、細胞質、細胞膜、細胞壁から構成されており、グラム陰性菌は、細胞壁の外に外膜を持つ構造をもち、グラム陽性菌は、外膜を持っていない構造をしているのだそうです。

生体の細胞と違う点は、細胞膜の外側に細胞壁や、細胞壁の外側に外膜を持っているということ。腸管出血性大腸菌のような大腸菌は、細菌の細胞壁の外に外膜を持つ「グラム陰性菌」と呼ばれる区分に該当するそうです。

精油の病原菌に対する活性は、多くの精油の場合、グラム陰性菌よりも、グラム陽性菌に対する活性が高いといわれています。ただ、ペパーミント(Mentha piperita)が、このグラム陰性菌に該当する腸管出血性大腸菌に有効であるということがいわれています。

また、ハーブの中にも、腸管出血性大腸菌が産生するベロ毒素の産生を阻止する成分を含んでいるものがあるそうです。それが、ホップなんだそうです。ホップというと、秋田県がとても有名なんですよ。そう、ビールの原料になるホップの生産量がとても多いんです。ところが、ビールになると、醸造の過程で大事な成分(ポリフェノール)の活性がほとんど失われるのだそうです。

ここで、再び秋田県の登場(
2006.11.17 ヌーヴォとパン新酵母じゃないけどでも登場しました)。秋田県総合食品研究所(外部リンク)では、醸造過程でホップに含まれている成分を失わないような製造法を開発したそうです。それが、地ビールになってるようですよ。

かわいい子供さんにビールを飲んでいただく事はできませんから、ペパーミントを使った消毒殺菌剤を活用する方法がよさそうですね。

コーヒーとNK細胞の活性

● ひまわりが勝手に選んだ植物療法関係の記事一覧の目次です
● 年度別目次 年度別目次 / 2007年度分目次 / 2006年度分目次 / 2005年度分目次
○ 関 連 情 報 精油の化学 / 植物油の化学 / 医療 / 脳・神経 / 薬と身体 / 福田安保理論 / 千島学説 / その他

○ 以下 2013.03.17 追加情報・・・・・・

この所「NK細胞を増やす」というキーワードによる検索により、ひまわりブログのこの記事を訪れる方が多くなりました。

下の画像は、最近(2013.03.17 現在)アクセス数の多い当該ブログ記事です。この記事へアクセスが多いのは、下記の検索キーワードからもおわかりいただけるように、「
NK細胞を増やす」ためには、どのようにしたらよいのだろうか、という事での検索の結果だと思います。

20130317コーヒーとNK細胞の活性

キーワードを分解すると、「NK細胞」とその細胞を「増やす」事に絞り込まれるかと思います。

20130317NK細胞を増やすのキーワード検索数

そのため、下記に示す様に

2013.03.17 がんに備えるNK細胞の増加と活性は自律神経の相反する働きと連動

「NK細胞の増加と活性は自律神経の相反する働き」について投稿させていただきました。参照いただければ幸いです。

○ 以上 2013.03.17 追加情報・・・・・・

朝起きると小雨模様。室内は夕方のように薄暗いのですが、暖か。寒暖の差が激しい秋田市です。シトシト降っていた雨は、午前中にはあがり、午後からは晴れまが出てきました。気温も高めですが、明日晩には、平野部でも降雪という予報がでています。

下の写真は、果物を利用したもの。左と中央は同じ料理で、柿と生ハムとチーズのサラダ。おいしそうだったので拡大して撮っちゃいました。同じようにアンズとピーマン、ダイコンの酢のもの。

200611120柿生ハムチーズサラダ1 20061120柿生ハムチーズサラダ2 2006120アンズピーマンダイコンの酢の物1

下の写真、左は、上の酢のもの。アンズのかわりに柿でもいいそうです。中央は、ミョウガの赤ジソ漬け。右は、チョロギの塩水漬け。これらは、赤梅酢作りに利用されるもの。

20061120アンズピーマンダイコンの酢の物2 20061121ミョウガの赤ジソ漬け 20061121チョロギの塩水漬け

下の写真は、みごとに紅く染まったもみじ。シトシト降り続いた雨の思わぬ落とし物は、きれいなもみじの葉。

20061121紅葉1 20061121紅葉2 2006121紅葉3

下の写真、左は、こちらも雨の思わぬ落とし物。地面一面に広がる木の葉。公園の前を通り過ぎましたが、思わず戻ってきてしまいました。ほとんどの葉を落とした桜の木と、梅雨に咲き誇った花がそのまま枯れてしまっているアジサイの花。

20061121公園の落ち葉1 20061121公園の紅葉 2006121公園の落ち葉2

下の写真、左は、秋田市内にある蔵。信号機で止まった目の前にとてもりっぱな蔵がありました。中央、右は、今日の秋田市内の夕焼け。明日晩には、この天気も雪になるとのこと。ラジオでは、冬の備えを呼びかけていましたよ。

20061121秋田市内の蔵 20061121夕焼け1 2006121夕焼け2

下の写真は、昨年の春に撮ったゼラニウムです。品種は、ゼラニウム レディマリー。ゼラニウムの花の中でも花の形や色がちょっと変わってて、ひまわりのお気に入りの一つです。

20050507ゼラニウム レディマリー

11月06日の「がん攻撃の NK細胞 コーヒーで働き活発に」(「2006.11.15 コーヒーとがんの関係)で、

・コーヒーは中枢神経系を興奮させ、心臓の心拍出量を増大させ、脈拍を増大させるものなので、「交感神経緊張」
・NK細胞は、顆粒球とともに「交感神経」の支配を受けている
・ところが、NK細胞は、副交感神経支配下でその活性をしめす

という、とても不思議な関係に興味を持ちました。「2006.11.19 プリン骨格とカフェインとアデノシン、「2006.11.20 カフェインはアデノシンのアンタゴニストでは、コーヒーの中に含まれているカフェインと、アデノシンとの関係を、化合物の構造と神経伝達物質の面からみてきました。今回は、NK細胞について見てみたいと思います。

NK細胞は、マクロファージから進化したもので、細胞質内にある顆粒から、細胞殺傷タンパク質であるパーフォリンやグランザイムを放出してがん細胞を攻撃する反面、条件が整うと、細菌などをマクロファージと同じように貧食する力も持っているリンパ球といわれています。

このようにがん細胞を攻撃する働きを「活性」というのだそうですが、とても不思議なのが、NK細胞がその「活性」を示すのは、副交感神経に傾いているときなのだそうです。よく、笑いは NK細胞の活性を促進させる、という話を聞きますし、実際に笑いと NK細胞との関係を調べているところもあるようです。

そこで、NK細胞を増やすにはどうするか、と考えるのが普通ですが、がんの患者さんに NK細胞が多いんだそうです。この違い、もうおわかりですよね。NK細胞が多くなるという事と、NK細胞の活性とは違うという事です。

また、がんを攻撃するシステムには、NK細胞と、キラーT細胞の働きの違いを理解することも大切です。免疫細胞は、自分自身とそれ以外を厳密に区別しています。MHC(主要組織適合抗原複合体)といわれる目印を利用して、かん化した細胞が自己の目印である MHC(MHC1クラス分子)を失った場合に攻撃を仕掛けてくるのが NK細胞です。MHCを持ったまま、がん化した細胞をターゲットにするのがキラーT細胞です。

ストレスが加わると NK細胞は、顆粒球や胸腺外のT細胞とともに、それらの比率を増加させるそうです。これは、以前にもお話している通り(一番下の関連記事を参照下さい)、外来抗原に対抗するための免疫システムを、自分の体に起こっている異常な細胞の増殖を排除しようとするように働く免疫システムへ、切り替えているともいえます。

このような免疫システムの移行は、加齢が進んだ場合にも起こりますから、生体の合目的性の神秘的な働きには、本当に感動してしまいます。もちろん、若い間は、ストレスが解消された場合、もとの免疫システムへ戻るわけですから、すばらしい仕組みを持っていますね。

さて、ストレスが加わると NK細胞、顆粒球や胸腺外のT細胞が増えますが、活性という点に関しては、

・NK細胞の細胞殺傷タンパク質放出の活性が低下
・顆粒球は、粘膜や組織の破壊へと活性増強
・胸腺外T細胞は、自己の増殖中の細胞に対する障害活性の増強

ということで、ストレス下では、NK細胞の活性が低下するのだそうです。NK細胞に関しては、交感神経で「その数」を増やし、副交感神経で「活性」を示すことになるようです。NK細胞は、本当に不思議な挙動をしめしますね。でも、これは、先ほど述べたように、生体の合目的性にかなっているから不思議です。

ストレスによる交感神経緊張状態が続く事で、NK細胞、顆粒球や胸腺外のT細胞が増え、がんに対する防御能を増大させますが、その反面、そのこと自体が、自己免疫疾患の原因としても掲げる事ができます。このとき、NK細胞はその活性を低下させることで、がんに対しての攻撃性を弱める一方、自己免疫疾のリスクの軽減にも働いているように見えます。

そのときに、笑いや、リラックスによって患副交感神経へ導かれると、NK細胞はがんに対する活性を増大させ、自己の異常細胞の排除を行い、そして、NK細胞以外の顆粒球や胸腺外T細胞も目的を達成して減少していくという、とても複雑で絶妙な仕組みが働いているようです。

ここ数日間で、NK細胞や、カフェイン、アデノシンなど、いろいろな角度から見てきましたが、コーヒーの中に含まれているカフェインは、特に、中枢神経系においては、自律神経の交感神経を緊張させるような仕組みに働いているようです。とすると、NK細胞の比率を高め、がんを攻撃する体制を整えてくれる準備はできあがるものの、いざ、NK細胞を活性化させるには至らないような気がします。

それでは、研究報告にある「コーヒーはがんを攻撃する NK細胞の働きを活発にする」のは、他の成分なのかなぁということにもなってきます。もちろん、コーヒーの中に含まれている成分には、カフェインだけでなく他にも多数あるようです。交感神経緊張にともなう活性酸素の除去に働きかけるものも存在しています。コーヒーの複合体によって、NK細胞の活性化が実現されているのでしょうか。

お客様で、「私の最高のアロマは、コーヒー」とお話されていた事を思い出しました。コーヒーの香りを嗅ぐと、落ち着いてリラックスできるのだそうです。だとすれば、コーヒーを飲む事により、コーヒーの香りが、リラックスへと誘い、NK細胞の活性を高めてくれる方向へ働く事もあり得るかと思います。

そのとき、体の中では、NK細胞の数が増加し、活性をも促進されてくれているという、がんを攻撃するためにとてもよい環境が整っていることになります。ひまわりは、コーヒーとガンの関係を見ていくうちに、カフェインとアデノシンの関係、NK細胞の働きなど、いろいろな事柄に興味を持つ事ができました。今まで見てきたように、とても複雑な問題を含んでいるため、簡単には説明できていません。

ひまわりは、ここ数日の間、きっと交感神経の緊張状態が続いていると思います。ここで、コーヒーでも飲んでリラックスすることにしましょうか。

● 関連記事
福田安保理論関連の目次
2013.03.17 がんに備えるNK細胞の増加と活性は自律神経の相反する働きと連動
2007.08.10 プリン・ピリミジン誘導体と核酸
2007.06.30 主な活性酸素の発生源と抗酸化
・「2006.11.21 コーヒーとNK細胞の活性」

2006.11.20 カフェインはアデノシンのアンタゴニスト
2006.11.19 プリン骨格とカフェインとアデノシン
2006.11.15 コーヒーとがんの関係

2006.08.03 パーシャルアゴニスト
2006.07.29 大脳基底核とDA
2006.07.27 サブスタンスPとDA
2006.07.24 脳幹に配置された神経核
2006.07.21 脳内神経伝達物質 DA

2006.07.31 顆粒球とヘイフリック限界
2006.06.09 生体防御ってすごいなぁ
2006.06.05 ガン細胞免疫細胞の死滅誘導
2005.12.12 免疫システムと感染症対策
2005.12.10 抗感染症と福田安保理論
2005.12.05 活性酸素とガンの関係
2005.09.18 アレルギー・ガンとNKT細胞
2005.08.01 新・古の免疫システム

カフェインはアデノシンのアンタゴニスト

● ひまわりが勝手に選んだ植物療法関係の記事一覧の目次です
● 年度別目次 年度別目次 / 2007年度分目次 / 2006年度分目次 / 2005年度分目次
○ 関 連 情 報 精油の化学 / 植物油の化学 / 医療 / 脳・神経 / 薬と身体 / 福田安保理論 / 千島学説 / その他

今日は、朝から小雨模様。一日中シトシト雨が降る天気でした。久しぶりに山へ行ってきましたが、道路沿いにあるツツジには、雪囲いが施されていました。昨年は、12月に降った雪がそのまま根雪となりましたから、早めの雪対策が必要ですね。

下の写真、左は、トンブリトロロ。山芋をすったところに、トンブリを入れたもの。中央は、雨の中、ツツジの雪囲い作業。右は、山の杉林の中にあるみそ蔵です。トラックの冷蔵コンテナを利用したものです。

200611120芋トンブリトロロ 20061120沿道の雪囲い 2006120山のみそ蔵

下の写真は、ラベンダーの畑です。結局今まで草刈りをできずじまい。枯れていく草の中、雨に濡れたラベンダーの葉が、とても生き生きと感じられました。

20061120ラベンダーナナ成沢 20061120ラベンダーおかむらさき1 20061120ラベンダーおかむらさき2

下の写真は、ばっぱが夜なべ仕事でむいた柿です。このように、戸外の軒先につるして干し柿にします。これが、ちょっと黒ずんで、しなびてくると甘い干し柿になりますので、それを山にきたついでにつまみ食いしてしまうのです。

20061120干し柿1 20061120干し柿2 2006120干し柿3

下の写真、左は、いつも帰りに通る近くの峠。全体にあまりきれいに紅葉しなかったようですが、昨年も同じ頃にここで写真を撮りました。正面にポールが見えますが、昨年は、隠れてしまうくらいの雪が積もりました。中央は、斜面にとても小さなもみじが、ちょっと色づいてとてもきれいでした。右は、お昼に食べた焼きそば。

20061120初冬の峠道 20061120ミニもみじ 2006120焼きそば

下の写真は、ラベンダー畑の入り口から撮ったもの。左には、まだ葉っぱをつけた栗の木があります。

20061120ラベンダーの畑1

下の写真は、ラベンダーの畑です。手前のラベンダーが早咲きのナナ成沢。中央付近が早咲き 3号(濃紫 3号)、一番奥がおかむらさきです。雨に濡れて、葉がとてもきれいに輝いていました。

20061120ラベンダーの畑2

下の写真は、先ほどの峠から撮ったもの。昨年は、15日に同じ場所から撮りましたが(2005.11.15 冬の足跡が聞こえてきました)、もう少し紅葉がきれいな色だったようです。

20061120初冬の峠

さて、「2006.11.15 コーヒーとがんの関係で、コーヒーがどのようなメカニズムで、がん細胞を攻撃する「NK細胞」を活性化するのか、とても興味を持ったのをきっかけに、昨日は(「2006.11.19 プリン骨格とカフェインとアデノシン)、コーヒーの中に含まれているカフェインと、アデノシンとの関係を、化合物の構造の面からみてきました。

プリン骨格を中心に「カフェイン」、そして、核酸や ATP(アデノシン三リン酸)を構成する重要な塩基の「アデニン」、アデニンとリボースを持つ「アデノシン」、さらには、「カフェインとアデノシンの関係」を見る事で、核酸(DNAやRNA)の構成要素である塩基、アデニンは、アデノシンの構成要素となり、そのアデノシンは、リボースと結合して ATPの構成要素となっていることがわかりました。

今日は、カフェインとアデノシンの関係を、それらの化合物の構造の側面からだけではなく、神経伝達物質としての側面を考慮にいれ考えてみたいと思います。

昨日も、アデノシンは、生体のいたるとこにに存在し、細胞間の調整に関わっており、特に脳内では、神経伝達物質としての定義には当てはまらないまでも「神経修飾物質」として働いている事を書きました。

神経伝達物質は、神経細胞(ニューロン)から、次の神経細胞へ放出される化学的なシグナルとして働く物質です。神経細胞の単位は、細胞体、樹状突起、軸索という構成で成り立っています。その神経細胞と神経細胞の間には、すき間があいており、この部分は「シナプス」と呼ばれ、そのすき間は「シナプス間隙」と呼ばれています。

軸索の末端まで、刺激が伝わってくると、軸索の末端にあるシナプス小胞という部分から、神経伝達物質が放出されて、次の神経細胞に刺激を伝えていく仕組みになっています。その神経伝達物質を受け止める部分は、受容体と呼ばれ、受け止められたことによって刺激が神経細胞を興奮させ、次の神経細胞を刺激していきます。

ここで、アデノシンの話に戻りますが、アデノシンが神経伝達物質のような振るまいをするといことは、そのアデノシンを受け止める受容体が存在することになりますが、これは、アデノシン受容体といわれるそうです。通常、いろいろな神経細胞があって、いろいろな神経伝達物質を放出しているのだそうですが、アデノシンを放出する神経細胞は、今のところ見いだされていないそうです。

では、どのようにして、アデノシンが放出され、神経細胞に影響を与えるのかというと、

・神経伝達物質とともに放出されたアデノシン三リン酸(ATP)が、細胞外のヌクレオチダーゼによって、アデノシンが先ほどのシナプス間隙に作られるのだそうです。
・作られたアデノシンは、次の神経細胞のアデノシン受容体によって受け止められると、その神経細胞に対していろいろな働きをします。
・いろいろな働きは、アデノシン受容体の種類によって決まっているそうで、四種類程(A1、A2a、A2b、A3)の受容体が明らかにされているようです。
・これらの受容体は、代謝型受容体といわれ、特定の酵素を調節する細胞内のセカンドメッセンジャーの産生を調節。

Gタンパク質、アデニル酸シクラーゼ、cAMP(サイクリックAMP)、ホスフォリパーゼCなどいろいろなものが関係しており、非常に複雑なお話なので、代謝型受容体については、後日投稿したいと考えています。

神経細胞の軸索の終末から放出(シナプス間隙で合成)されたアデノシンは、アデノシン受容体の種類により、複雑な働きをするようです。脳の線条体や、海馬にもアデノシン受容体があり、微妙な調整が行われているようです。これらの点に関しても、後日このブログでも詳しく見ていきたいと思います。

・カフェインとの関係で大切なのが、脊髄を含む中枢神経に存在しているアデノシンA1受容体
・アデノシンが、アデノシンA1受容体に作用することで、中枢神経系の伝達物資の抑制や、神経の興奮を抑制する働きをしている

ここで、カフェインの登場です。カフェインの構造とアデノシンの構造には、プリン骨格を有していましたよね。そうです、カフェインがアデノシン受容体に結合することで、アデノシンそのものの結合を阻害し、アデノシンが本来働らかせていた抑制の作用が起こらない事になります。

以前
2006.08.03 パーシャルアゴニストでは、アゴニスト、アンタゴニスト、パーシャルアゴニストについて書いた事があります。この場合、アデノシンは作動させるためにはたらくものとして「リガンド」、カフェインは、「リガンド」であるアデノシンの働きを阻害するために働く「アンタゴニスト」として働く事になります。

そこで、これらの事をまとめてみると、

・カフェインは、神経興奮を抑制するために働くアデノシンとその構造が似ている(プリン骨格)
・カフェインは、神経細胞を直接興奮させるような働きをするのではなく、抑制作用を示すアデノシンの働きを妨げる形で、神経細胞を興奮させていることになる

今回のブログタイトルとは直接関係ありませんが、植物療法によく使われるハーブに、西洋カノコ草があります。この中に含まれている「リグナン」という成分は、カフェインとは逆に、アデノシン受容体へ作用し、鎮静効果を示します。

リグナンは、このとき、アゴニストとして、アデノシンと同じような作用を引き起こす成分ということになるようです。ですから、西洋カノコ草に含まれるリグナンは、アデノシン受容体に作用して鎮静効果をもたらすアゴニストとして働く事になるわけです。

コーヒーに含まれるカフェインは、直接神経細胞を興奮させるように働くわけではく、アデノシンの神経細胞の興奮を抑制する働きを阻害する形で作用することが、その構造からわかりました。いずれにしても、交感神経を緊張させ、末端からノルアドレナリンを放出することになるようです。

ところで、カフェインを含むコーヒーと、リグナンを含む西洋カノコ草を一緒に飲むと、いったいどうなるのでしょうかね。

● 関連記事
2007.08.10 プリン・ピリミジン誘導体と核酸
2007.06.30 主な活性酸素の発生源と抗酸化
2006.11.21 コーヒーとNK細胞の活性
・「2006.11.20 カフェインはアデノシンのアンタゴニスト」

2006.11.19 プリン骨格とカフェインとアデノシン
2006.11.15 コーヒーとがんの関係

2006.08.03 パーシャルアゴニスト
2006.07.29 大脳基底核とDA
2006.07.27 サブスタンスPとDA
2006.07.24 脳幹に配置された神経核
2006.07.21 脳内神経伝達物質 DA
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プロフィール

ひまわり

○ 佐藤 喜仁(さとうよしひと)
・1955年(昭和30)年
 12月生まれ
・福島県会津高田町出身
○ 1974年(昭和49年)3月
・福島県立大沼高等学校
・普通科卒業
○ 1978年(昭和53年)3月
・京都産業大学
・経営学部 経営学科
(会計学専攻) 卒業
○ 1980年(昭和55年)3月
・京都産業大学
・大学院 経済学研究科修了
○ 1981年(昭和56年)〜
  1987年(昭和62年)
・税理士事務所勤務
○ 1987年(昭和62年)12月
・ハーブ専門店
 みなみの香草屋開業
・自社農場でハーブの生産、
 出荷
・ショップでハーブやアロマ
 関連商品の販売
・サロンでのトリートメント
・ショップやサロンへ商品供給
 とアドバイス
○ 1997年(平成9年)6月
・秋田アロマテラピースクール
 開講
○ 現在、秋田市で
・アロマテラピーと
 フィトテラピー(植物療法)
 を学びながら、ショップや
 サロンを営み、スクールも
 開講しています

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・シトラール
・シトロネラール
芳香族アルデヒド類
・クミンアルデヒド
・ケイ皮アルデヒド
酸化物類
・アスカリドール
・1,8シネオール
・ビサボロールオキサイドA
・trans-リナロールオキサイド
ラクトン類
・クマリン

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