● ひまわりが勝手に選んだ植物療法関係の記事一覧です(月別に並べてあります)
植物療法に関係のある記事のもくじ(2005.06.04 〜 現在まで)

今日は、朝、雲の間から日もさし青空も広がっていましたが、一日を通して曇り模様の天気でした。最高気温は 5.5度と、この季節にしたら、わりと暖かなんでしょうか。昨年は、すでに 10日から降り出した雪は根雪となって、すごい豪雪でした。現在のところ、秋田市内は全く雪がない状態です。

下の写真、左は、先日赤カブの酢漬け用に用意したもの。これが、中央のようにおいしそうながっこになっています。右は、トンブリと長芋を混ぜ合わせたトンブリトロロ。

20061217赤カブ 20061220赤カブがっこ 20061219トンブリトロロ

下の写真、左は、昨夜のおかずの肉ジャガです。朝から、ばっぱは大根のがっこ漬けに大忙し。大きなみそ樽に大根をびっしりと敷き詰め、別のナベに必要なものを調合しています。ナベの中身は、塩、ザラメ、酢、おにがらし、そして生ビールです。あまりにも重くて手伝いましたが、すごい量にびっくり。確か生ビール大きい缶を三本くらい入れたかな。この上に重石を置きます。

2006119肉ジャガ 20061220大根のビール漬け1 20061220大根のビール漬け2

昨日、精油のメーカーからファックスが届きました。「フェンネル完売のお知らせ」というもの。その内容が、「当初の予想を上回るご注文をいただきまして、今回入荷したロットは全て完売した」というもの。しかも、この精油を販売している海外の大元でも欠品中ということで、入荷時期が未定なんだそうです。

そしたら、今日は「ナツメッグ完売のお知らせ」というファックスも届きました。いったいどうなっているのでしょうか。以前にも、メーカーは十分な精油を確保しているはずなのですが、「当初の予想を上回るご注文」というのが、欠品となっている大きな原因だと思います。

確か、ローズヒップオイルのときから、欠品が多くなっているような気がします。
ローズヒップ オイル 完売のお知らせ(外部リンク みなみの香草屋)でも、完売の理由を、「TVや雑誌などでアロマテラピーを取り上げる機会が増えてきた」事や、「当初の予想(通年量)を遙かに上回る、1日で1年分の注文」だった事を公表しています。

しかし、「1日で1年分の発注」というもは、どうも異常な事態です。今回のフェンネルもまたそのような事が原因であれば、大変な事ですね。サンダルウッド Santalum album も、需要が供給を上回り、100% ピュアな精油の供給が無理ということで、インド・インドネシアからニューカレドニア産のサンダルウッド Santalum austrocaledonicum へと変更があったばかりです(
2006.07.13 サンダルウッドに学ぶこと)。

下の図は、フェンネル Foeniculum vulgare の生化学的な主な成分を示したものです(クリックすると大きくなりますよ)。

20100531 フェンネル Foeniculum vulgare

芳香成分類で見て見ると、フェノールメチルエーテル類の実数値は、「63.75%」ととなっています(ロッド番号 BIOFVPAOP0505 保証期間 2010年5月)。この芳香成分類の主な特性は、鎮痙れん・鎮痛・抗炎症・抗真菌・抗ウィルス・抗菌の各作用ですが、この類を構成している芳香分子には、trans-アネトールやチャビコールメチルエーテルが有名です。中でも「trans-アネトール」は、精油事典 Ver.5 では、平均含有量が「25〜75%」と非常に高い構成比となっています。この芳香成分の働きとフェノールメチルエーテル類の主な特性を利用した、いろいろな活用が期待できそうす。

trans-アネトールの持つエストロゲン様・乳汁分泌促進の各作用と、フェノールメチルエーテル類の持つ鎮痙れん・鎮痛・抗炎症の各作用が、婦人科系の疾患にとても有効な働きを持っているように思われます。

また、trans-アネトールの持つ消化促進作用や、チャビコールメチルエーテルの持つ消化促進作用、フェノールメチルエーテル類の持つ鎮痙れん・鎮痛・抗炎症の各作用は、消化器系にも有効なようです。

さらに、モノテルペン炭化水素類の α-フェランドレンの持つ鎮咳作用、ケトン類の持つ粘液溶解・去痰の各作用が、呼吸器系にも役立つようです。

ケトン類には、脂肪溶解作用が、モノテルペン炭化水素類には、うっ滞除去・抗炎症などの主な作用があるわけですから、スリムアップにも役立つ可能性があるようです。もちろん、trans-アネトールやケトン類を含んでいますし、フェノールメチルエーテル類でもありますから、当然禁忌事項も出てきます。内容成分をよく理解して利用することが大切ですね。

このように、いろいろな方面に対して有効に活用できるフェンネル Foeniculum vulgare ですから、何かマスメディアに訴えかける宣伝がなされたのでしょうか、在庫が欠品に陥った事、なるほどなと理解できるところです。

ところで、フェノールメチルエーテル類の trans-アネトール、この芳香成分類や芳香分子の構造が、下記の図に示されています。フェノールメチルエーテル類は、芳香族の基本骨格である「ベンゼン環」に直接水酸基( -OH)がついたフェノール類の水酸基( -OH)の水素が、メチル基(-CH3)に置き換わり、間にエーテル(- O)が、ベンゼン環とメチル基のそれぞれを両手で抱えているように結合したものでした。

200612trans-アネトール

そして、この trans-アネトールは、幾何異性体(きかいせいたい)としての性質も持っています。これは、上の図で示しているように、炭素と炭素の二重結合に対して、同じ原子(原子団)が、二重結合の同じ側にあるとき「シス形」、反対側にあるとき「トランス形」という、幾何異性体の構造を持っています。フェンネル Foeniculum vulgare に含まれるアネトールは、ご覧のように、トランス形の構造を持っています。メーカーによっては、シス形のアネトールが、微量ではあるようですが含有されているようです。

そして、この trans-アネトールの構造と、チャビコールメチルエーテルやパラクレゾールメチルエーテルの構造を並べて示したのが下記の図です。どうですか? 何となくというか、かなり似ている構造だと思いませんか。この三つすべて、ベンゼン環の上の部分に、酸素(エーテル基 -O)とメチル基が結合しており、フェノールメチルエーテル類です。

20061220フェノールメチルエーテル類

trans-アネトールは、フェンネル Foeniculum vulgare に含まれています(アニス Pimpinella anisum やスターアニス Illicium verum にも含まれていました)。また、フェンネル Foeniculum vulgare には、先ほど見たように チャビコールメチルエーテルも含んでいます。この芳香分子で有名なのが、バジル Ocimum basilicum とタラゴン Artemisia dracunculus でした。また、パラクレゾールメチルエーテルは、イランイラン Cananga odorata に含まれていました。

下の図は、
2006.12.15 デヒドロエピアンドロステロンでも投稿したステロイド骨格と、男性ホルモンや女性ホルモンの前駆物質としてのデヒドロエピアンドロステロンを示したものです。よく、trans-アネトールは、その構造が女性ホルモンの分子構造に酷使しているため、エストロゲン様作用を示すことがいわれています。

20061215性ホルモン

実際の女性ホルモンは、ステロイド骨格にある「A」が、ベンゼン環となっていますが、どうでしょうか。ひまわりは、あまり似ていないと思うのですけど、どうなんでしょうね。

昨日の新聞に、「鏡を見て一時間も二時間も、自然を人間にする努力をしています」というコラムがありました。「まともバカ」養老 猛司氏のことばを引用され、「お化粧をする」ということは、自分の顔なり姿なりを、脳が描いている、「こうありたいと思っている人間(自分)」に近づけようという作業なのだ、と述べているのだそうです。

おもしろかったのは、ダイエットや痩身などのことを引きあいに出し、何故そのような行動をするのかを「脳」との関係からとらえているところ。何でも、「われわれの身体は、遺伝子で決められ「自然なもの」。これに対して、脳、心、意識は「人工的なもの」。そのために、脳は、自然な存在である身体の状態に対して、こうありたいという思いや考え方を及ぼそうと考える」といことでした。

フェンネル Foeniculum vulgare は、もしかしたら、そのような人間の「脳」が求めている精油なのでしょうか。女性ホルモンは、とても「脳」と関係があるんですよ。