今日の秋田は、朝からどんよりと曇り空。いつごろからでしょうか、気がつくとシトシト雨模様の天気です。最低気温は、何とプラス 8.7度。外へ出たとき、寒さに対してのストレスをまったく感じない気温でした。このような感覚、本当に久しぶりです。最高気温は 13.4度と、昨日の温度には届きませんでしたが、暖かです。

下の写真は、昨日の夕方の様子。不気味な雲がとても印象的だったので、携帯電話の写真で撮影しました。どちらかというと、左側の雲の色の方が実際の色に近いようです。

20070304不気味な夕焼け1 20070304不気味な夕焼け2 20070304不気味な夕焼け3

下の写真、左は、昨夜の晩ご飯。今年採れたひろことタマゴの雑炊。中央は、昨日に続きまたしてもハッシュドカレー。右は、みそ漬けです。実際の色よりもかなり赤い色が強く写ってしまったようです。

20070304ひろとタマゴの雑炊 20070305ハッシュドカレー 20070305みそ漬け

先日、2007.03.02 ノーマリゼーションとの関係で、 NHKテレビで放送されたアルツハイマー型認知症、脳梗塞による認知症など、脳に障害を持たれている患者さんの「生きがいと、生きる喜びを取り戻す」という事を、少しご紹介しました。

前にもご紹介したように、番組では、失われた脳の機能が「
どんな状態でも、何歳からでも」鍛えることは可能で、それは「前頭前野」の特定部位の活性化という概念を基本にしながら、実際に地域に密着した福岡の施設のお話が紹介されていました。

本来、脳の神経細部は、一部の細胞を除いて、再生できないといわれています。それでは、何故そのような失われた脳の機能が「
どんな状態でも、何歳からでも」鍛えることが可能なのでしょうか。

その全貌が解明されたわけではないかと思いますが、脳に、実際に障害を持たれている患者さんの「おでこ」の部分を「
光ポトグラフィー」という手法を使って計測することで、実証することができるようです。

光ポトグラフィーというのは、脳の血中のヘモグロビンを見る装置のようで、脳が盛んに活動すれば酸素供給量が多くなる、という仕組みを利用して、視覚的に脳を画像表現するシステムのようです。

活動が盛んな部位は「赤い」色で示されていたかと思います。この手法を、患者さんや家族の方々のご了承をえて、

・ある学習や、コミュニケーションなどの刺激を与えたときに、脳のどの部位が活性化しているのか
・それらの刺激を、時系列的に繰り返していくことで、脳の活性部位がどのように変化していくのか

を注意深く研究されたそうです。

その結果、とても興味のある事がらが発見されました。前頭前野を、番号で区画整理し、

・46野と呼ばれる部位は、感情や行動のコントロールと密接な関係にある
・9野、10野と呼ばれる部位は、人と人のコミュニケーションや、意欲に密接な関係がある

ということを見いだしたそうです。そして、それだけではなく、前頭前野のこれら特殊な「野」を刺激するための具体的な方法をも見いだしたそうです。

・46野を刺激するための具体的な方法は、簡単な計算や、音読がとても効果的
・9野、10野を刺激するための具体的な方法は、意識的に目を合わせ声をかけ、お話するという視線を合わせる取り組みがとても効果的

ということがわかったそうです。

これらの事は、患者さんや家族の皆さんと看護師さんの本当に涙ぐましい努力によって確かめられていました。放送では、三組のケースを取り上げ、患者さんの症状と改善までの具体的な手法、どのように改善することができたのか、そして、時系列的に前頭前野のある特定の「野」がどのように変化してきたのか、ということを具体的に紹介していました。

一つのケースでは、98歳のお年寄りの方。感情をコントロールできず、不安で、悲観的な考え方なのか「
死なせて下さい」と繰り返し話されていたのが印象的でした。

四年前に認知症という診断がされたそうです。そこで、この方の前頭前野を光ポトグラフィーにより計測してみると、46野の活性があまり活発でなく、学習療法と呼ばれる簡単な計算をしていただく事にしました。一週間後に、自分の順番が待ちきれず、自分から学習に興味を持ち始めたそうです。

学習により、点数をつけるのですが、その時看護師さんが「
よくできたねぇ〜、100点とったよ」と必ず声をかけていました。その結果、生活に落ち着きを取り戻し、「死にたい」とあまりいわなくなりました。

もっとも感銘を受けたのが、娘さんへハガキを書きたいとスタッフにお願いしたこと。最初は、自分の感情を一方的に表現する内容だったものが、娘さんを気づかう気持ちの込められた内容となり、感情をコントロールすることができる結果となったようです。

二つ目のケース、77歳の方で、五年前に脳梗塞という突然の病と夫の死を体験。光ポトグラフィーで調べてみると、この方の前頭前野の 9野と 10野の活動が弱く、人と人のコミュニケーションをはかったり、意欲を感じる事が難しい状態にあることを表していました。

学習療法を実施するのですが、表情に変化が見うけられません。どうしたらよいのかのミーティングをしているうちに、看護師さんが、あることに気がつきました。話をしているときに、あえて目をそらし、目があったことがなかったのです。

そこで、スタッフが目を合わせてコミュニケーションをとるよう意識し、目線に合わせて声をかけ、話をするよう試みました。そして、光ポトグラフィーで計測してみると、コミュニケーションを司る野の 9野、10野に活性が見うけられました。

視線を合わせる取り組みを開始して、4日後、何と、今まであえて目をそらしていた方が、目を合わせて答えてくれました。そして、笑顔までもが戻っていたのにはびっくりしました。

三つ目のケース、83歳の方で、六年前と三年前に脳梗塞を体験。旦那さんが今まで介護されていたそうですが、脳機能テストを実施すると、誕生日や、日付、曜日を正しく認識していない様子で、認知症という診断がなされました。

光ポトグラフィーでの検査でも、前頭前野が学習中であっても、あまり活発ではなかったようです。その後、週三回施設に通いながら、自宅でも学習療法を繰り返しました。

この方の場合、身の回りの事をしようとしない、という問題がありました。旦那さんが、そんな奥さんの姿を見て、本人がする事についつい手を出してしまっていました。

あまり改善が見られなかったので、他に何か問題があるのでは、ということで、見直してみると、旦那さんのあまやかしが意欲をそぐのでは、ということで、声かけは大切でも手をかさない、という方法をとってみました。

そしたら、介護用のハシを上手に使い、表情が豊になって、旦那さんやスタッフの声に自分から応えるようになりました。光ポトグラフィーで見て見ると、9野、10野という意欲を司る野の活性が見られたとの事。

これらの介護は、福岡のある施設で施されていました。アルツハイマー型認知症や、脳梗塞による認知症など、脳に実際に障害を持たれている患者さんの脳を

・光ポトグラフィーという手法で計測
・それを応用した脳の特定部位の活性を促す
・具体的には、とても簡単な「計算問題」や「視線を合わせたコミュニケーション」を実行する

という、シンプルな、それでいてとても基本的な事をするだけで、認知症を改善し、生きる意欲を取り戻す事ができること、本当にすばらしいなぁと、改めて感動しました。

これが、一番最初にお話した、「何故失われた脳の機能が「
どんな状態でも、何歳からでも」鍛えることが可能なのか」ということへの一つの解答なのではないのかなぁと思います。

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2007.01.08 脳を鍛えることとコミュニケーション
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2006.12.18 認知症と介護