今日の秋田は、時間が経つにつれてだんだん晴れまが広がる暖かな天気でした。昨日ほどではありませんが、最低気温は、プラス 2.0度、最高気温は 4.9度でした。昨年から花をつけているゼラニウムが、信じられないくらいです。
下の写真は、昨晩のおかず。左は、オムレツポテト。中央は、アスパラのカニ缶和え。右は、舞茸ジャガイモどっさりのみそ汁でした。
下の写真、左は、お昼に食べたメンチカツポテト添え。中央は、セリとタマゴの入ったみそ汁。右は、昨年から咲いているゼラニウム パイン。通常、風除室であっても、秋田ではなかなか越冬できません。今冬は、昨年と違い暖冬のため、ご覧のようにきれいな花がずっと咲いています。
先日から、精油の化学でとても大切な「炭化水素」のグループと、その炭化水素に結合することで、有機化合物の性質を決める働きを持つ官能基ついて、投稿してきました。
アルコール類を例に、アルコールの種類と官能基の関係(「2007.02,17 官能基の水酸基とカルボニル基」)や、水酸基や、カルボニル基を中心とした芋づる式に関連しあう官能基の関係(「2007.02.16 アルコールの官能基と酸化反応」)などを見てきました。
今日は、カルボン酸類とアルコール類が一緒になってできあがる「エステル類」の官能基であるエステル結合(基)を環状に含む「ラクトン類」や、エーテル基と「フェノールメチルエーテル類」や「酸化物類」との関係を見ていきたいと思います。
下の図は、前回示した水酸基や、カルボニル基を中心とした芋づる式に関連しあう官能基の関係(「2007.02.16 アルコールの官能基と酸化反応」)とともに、
○ エステル結合(基)が環状構造の一部になっているラクトン類(テルペン系、脂肪族、芳香族)
○ エーテル基(- O -)との関係で
・フェノール類として、ベンゼン環に直接結びついている水酸基の水素が、メチル基へ置換されて「フェノールメチルエーテル類」へ
・テルペン系の有機化合物に、エーテル基が環の中に含まれる形で存在する「酸化物類」
などの関係をあらわしています。
前回は、精油の化学の基本とな「三つの炭化水素のグループ」のうち、図や表現を簡単にするため「脂肪族」の炭化水素を基本に図解してきました。今回は、四角の枠組みを「三つの炭化水素のグループ」に見立てて、これらの炭化水素に官能基が結合した状態を表すことにしました。
四角の枠組みの中には、テルペン系、脂肪族、芳香族という三つの炭化水素のグループが示されており、それらいずれかの炭化水素に、官能基が結合することで、官能基を中心とした関係を理解することが容易になるかと思います。
これにより、特にエーテル基との関係から見る事のできる「フェノールメチルエーテル類」や「酸化物類」との関係が明確となります。というのは、フェノールメチルエーテル類は、基本となる炭化水素のグループが芳香族(フェノール類)であり、酸化物類は、テルペン系の有機化合物だからです。
まず、エステル類に見られる「エステル結合(基)」です。有機化学の世界では、「エステル結合」と表現されているようですが、アロマテラピーの世界では、「エステル基」と表現されているようです。
このエステル結合(基)は、エステル類の構造を見ていただければご理解いただけるように、炭素の手と酸素の手をおのおの一本づつ両端に延ばしています。この両端で、基本となる炭化水素のグループと、他の炭化水素とを結びつないでいる状態で存在しています。だから「結合」といわれるのでしょうね。
そのエステル結合(基)が、環状構造の一部となって配置されているのが「ラクトン類」です。どことなく「ケトン基」に似ていますね。ケトン基は、炭素の四本の手のうち、二本で二重結合した酸素を持ち、残りの二本が、基本となる炭化水素のグループと他の炭化水素を結びつけていました。
ラクトン類におけるエステル結合(基)は、
・閉じた環状の一部となり(五角形や六角形の環状など)
・酸素の隣に常に「炭素と酸素の二重結合」という構造
をとっています。ですから、ケトン基を持つケトン類や、同じエステル結合(基)を持つエステル類とは、違った有機化合物です。このラクトン類は、全般的に分子量が大きく、水蒸気蒸留法ではなかなか取り出す事のできない芳香成分類といわれています。
ラクトン類にも、基本となる三つの炭化水素のグループが存在しますが、薬理や光感作との関係で「芳香族ラクトン類」が特徴的な有機化合物の位置づけとなっているようです(「2006.06.01 光毒性とフロクマリン類」)。クチナシの花の香りは、脂肪族ラクトン類なんですって。
次に、「エーテル基」との関係から、フェノールメチルエーテル類と酸化物類とを関連づけることができます。
○ 一つは、フェノール類(芳香族)から導きだされる「フェノールメチルエーテル類」
○ もう一つは、テルペン系から導き出される「酸化物類」
○ どちらにも、エーテル基(- O -)が結合
○ 有機化学では、官能基が中心のため、
・ フェノールメチルエーテル類をフェノールエーテル類
・ 酸化物類はテルペン系エーテル類、と分類されてるようです
○ アロマテラピーの世界では、薬理作用を中心とするため、両者は区別されている
と、いう関係があるようです。本当に複雑なんですね。その区別の考え方のキーワードになるのが、「置換」と「環」です。
フェノールメチルエーテル類のキーワードは、「置換」です。もともと、ベースになるのが、芳香族のグループである「フェノール類」。ベンゼン環に直接結合している水酸基(-OH)の水素(H)が、メチル基(-CH3)に「置換」されることで、
・エーテル基(- O -)の両端に、ベンゼン環の炭素とメチル基を連結しているように配置
・この置換のほどんどは、フェノール類の水酸基に起こるようです
・メチル基以外の原子団が置換される場合もある
・アロマテラピーでは、フェノール類の水酸基の水素が、メチル基へ置換されることによるフェノールメチルエーテル類が大切
ということがいえるかと思います。
次の酸化物類のキーワードは、「環」です。この場合も、三つの基本となる炭化水素のグループではなく、テルペン系の炭化水素である点が特徴です。
・テルペン系炭化水素の「環」状構造の一部として
・あるいは、テルペン系炭化水素に、エーテル基自身が二本の手で「環」を形成する
という、構造をとるようです。代表的な芳香分子に「1,8シネオール」があげられますが、これは、後者の方に属する「環」を形成しています。上の図で表示されている酸化物類の例が 1,8シネオールです。
精油の化学では、炭化水素のグループを基本にすることを何度となく述べています。その中でも、テルペン系の有機化合物は、精油の化学の世界では、非常に大きな割合を占めています。
また、官能基も、三回にわたって見てきたように、有機化学の世界で取り上げる官能基全部が対象となるのではなく、水酸基、カルボニル基、ケトン基、アルデヒド基、カルボキシル基、エステル結合(基)、エーテル基などの官能基が中心となります。
これまで、いろいろ見てきましたが、今後、三つの炭化水素のグループと官能基により分類された有機化合物(芳香成分類 - 芳香分子)を、その構造式と対比しながら見てみたいと考えています。
● 関連記事
○「精油の化学関連の目次」
・「2007.02.19 官能基のエーテル基とエステル結合」
・「2007.02,17 官能基の水酸基とカルボニル基」
・「2007.02.16 アルコールの官能基と酸化反応」
・「2006.03.04 イソプレン分子はプードル犬」
・「2006.03.06 テルペン系はイソプレンブロック」
・「2006.02.03 芳香成分類の名称」
・「2006.01.29 共有結合」
・「2006.01.27 炭素の手は4本」
・「2006.01.22 炭化水素基と官能基」
・「2006.01.20 精油の化学と基本骨格」
・「2005.06.22 精油の芳香成分類の分類は何を基準にして」
・「2006.02.13 サリチル酸二つの官能基」
・「2006.02.11 ヤナギナツユキアスピリン」
・「2006.02.10 サリチル酸と植物療法」
下の写真は、昨晩のおかず。左は、オムレツポテト。中央は、アスパラのカニ缶和え。右は、舞茸ジャガイモどっさりのみそ汁でした。
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下の写真、左は、お昼に食べたメンチカツポテト添え。中央は、セリとタマゴの入ったみそ汁。右は、昨年から咲いているゼラニウム パイン。通常、風除室であっても、秋田ではなかなか越冬できません。今冬は、昨年と違い暖冬のため、ご覧のようにきれいな花がずっと咲いています。
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先日から、精油の化学でとても大切な「炭化水素」のグループと、その炭化水素に結合することで、有機化合物の性質を決める働きを持つ官能基ついて、投稿してきました。
アルコール類を例に、アルコールの種類と官能基の関係(「2007.02,17 官能基の水酸基とカルボニル基」)や、水酸基や、カルボニル基を中心とした芋づる式に関連しあう官能基の関係(「2007.02.16 アルコールの官能基と酸化反応」)などを見てきました。
今日は、カルボン酸類とアルコール類が一緒になってできあがる「エステル類」の官能基であるエステル結合(基)を環状に含む「ラクトン類」や、エーテル基と「フェノールメチルエーテル類」や「酸化物類」との関係を見ていきたいと思います。
下の図は、前回示した水酸基や、カルボニル基を中心とした芋づる式に関連しあう官能基の関係(「2007.02.16 アルコールの官能基と酸化反応」)とともに、
○ エステル結合(基)が環状構造の一部になっているラクトン類(テルペン系、脂肪族、芳香族)
○ エーテル基(- O -)との関係で
・フェノール類として、ベンゼン環に直接結びついている水酸基の水素が、メチル基へ置換されて「フェノールメチルエーテル類」へ
・テルペン系の有機化合物に、エーテル基が環の中に含まれる形で存在する「酸化物類」
などの関係をあらわしています。
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前回は、精油の化学の基本とな「三つの炭化水素のグループ」のうち、図や表現を簡単にするため「脂肪族」の炭化水素を基本に図解してきました。今回は、四角の枠組みを「三つの炭化水素のグループ」に見立てて、これらの炭化水素に官能基が結合した状態を表すことにしました。
四角の枠組みの中には、テルペン系、脂肪族、芳香族という三つの炭化水素のグループが示されており、それらいずれかの炭化水素に、官能基が結合することで、官能基を中心とした関係を理解することが容易になるかと思います。
これにより、特にエーテル基との関係から見る事のできる「フェノールメチルエーテル類」や「酸化物類」との関係が明確となります。というのは、フェノールメチルエーテル類は、基本となる炭化水素のグループが芳香族(フェノール類)であり、酸化物類は、テルペン系の有機化合物だからです。
まず、エステル類に見られる「エステル結合(基)」です。有機化学の世界では、「エステル結合」と表現されているようですが、アロマテラピーの世界では、「エステル基」と表現されているようです。
このエステル結合(基)は、エステル類の構造を見ていただければご理解いただけるように、炭素の手と酸素の手をおのおの一本づつ両端に延ばしています。この両端で、基本となる炭化水素のグループと、他の炭化水素とを結びつないでいる状態で存在しています。だから「結合」といわれるのでしょうね。
そのエステル結合(基)が、環状構造の一部となって配置されているのが「ラクトン類」です。どことなく「ケトン基」に似ていますね。ケトン基は、炭素の四本の手のうち、二本で二重結合した酸素を持ち、残りの二本が、基本となる炭化水素のグループと他の炭化水素を結びつけていました。
ラクトン類におけるエステル結合(基)は、
・閉じた環状の一部となり(五角形や六角形の環状など)
・酸素の隣に常に「炭素と酸素の二重結合」という構造
をとっています。ですから、ケトン基を持つケトン類や、同じエステル結合(基)を持つエステル類とは、違った有機化合物です。このラクトン類は、全般的に分子量が大きく、水蒸気蒸留法ではなかなか取り出す事のできない芳香成分類といわれています。
ラクトン類にも、基本となる三つの炭化水素のグループが存在しますが、薬理や光感作との関係で「芳香族ラクトン類」が特徴的な有機化合物の位置づけとなっているようです(「2006.06.01 光毒性とフロクマリン類」)。クチナシの花の香りは、脂肪族ラクトン類なんですって。
次に、「エーテル基」との関係から、フェノールメチルエーテル類と酸化物類とを関連づけることができます。
○ 一つは、フェノール類(芳香族)から導きだされる「フェノールメチルエーテル類」
○ もう一つは、テルペン系から導き出される「酸化物類」
○ どちらにも、エーテル基(- O -)が結合
○ 有機化学では、官能基が中心のため、
・ フェノールメチルエーテル類をフェノールエーテル類
・ 酸化物類はテルペン系エーテル類、と分類されてるようです
○ アロマテラピーの世界では、薬理作用を中心とするため、両者は区別されている
と、いう関係があるようです。本当に複雑なんですね。その区別の考え方のキーワードになるのが、「置換」と「環」です。
フェノールメチルエーテル類のキーワードは、「置換」です。もともと、ベースになるのが、芳香族のグループである「フェノール類」。ベンゼン環に直接結合している水酸基(-OH)の水素(H)が、メチル基(-CH3)に「置換」されることで、
・エーテル基(- O -)の両端に、ベンゼン環の炭素とメチル基を連結しているように配置
・この置換のほどんどは、フェノール類の水酸基に起こるようです
・メチル基以外の原子団が置換される場合もある
・アロマテラピーでは、フェノール類の水酸基の水素が、メチル基へ置換されることによるフェノールメチルエーテル類が大切
ということがいえるかと思います。
次の酸化物類のキーワードは、「環」です。この場合も、三つの基本となる炭化水素のグループではなく、テルペン系の炭化水素である点が特徴です。
・テルペン系炭化水素の「環」状構造の一部として
・あるいは、テルペン系炭化水素に、エーテル基自身が二本の手で「環」を形成する
という、構造をとるようです。代表的な芳香分子に「1,8シネオール」があげられますが、これは、後者の方に属する「環」を形成しています。上の図で表示されている酸化物類の例が 1,8シネオールです。
精油の化学では、炭化水素のグループを基本にすることを何度となく述べています。その中でも、テルペン系の有機化合物は、精油の化学の世界では、非常に大きな割合を占めています。
また、官能基も、三回にわたって見てきたように、有機化学の世界で取り上げる官能基全部が対象となるのではなく、水酸基、カルボニル基、ケトン基、アルデヒド基、カルボキシル基、エステル結合(基)、エーテル基などの官能基が中心となります。
これまで、いろいろ見てきましたが、今後、三つの炭化水素のグループと官能基により分類された有機化合物(芳香成分類 - 芳香分子)を、その構造式と対比しながら見てみたいと考えています。
● 関連記事
○「精油の化学関連の目次」
・「2007.02.19 官能基のエーテル基とエステル結合」
・「2007.02,17 官能基の水酸基とカルボニル基」
・「2007.02.16 アルコールの官能基と酸化反応」
・「2006.03.04 イソプレン分子はプードル犬」
・「2006.03.06 テルペン系はイソプレンブロック」
・「2006.02.03 芳香成分類の名称」
・「2006.01.29 共有結合」
・「2006.01.27 炭素の手は4本」
・「2006.01.22 炭化水素基と官能基」
・「2006.01.20 精油の化学と基本骨格」
・「2005.06.22 精油の芳香成分類の分類は何を基準にして」
・「2006.02.13 サリチル酸二つの官能基」
・「2006.02.11 ヤナギナツユキアスピリン」
・「2006.02.10 サリチル酸と植物療法」