● ひまわりが勝手に選んだ植物療法関係の記事一覧です(月別に並べてあります)
植物療法に関係のある記事のもくじ(2005.06.04 〜 現在まで)

今日の朝は晴れまが広がり、とても寒い朝でした。道路のいたるところに氷が張っていました。調べてみると、0.3度ということですが、それ以上に寒い感じです。日中も気温が上がらず、いつしか空は曇りだし、あっという間に外は真っ白に雪化粧していました。セミナー中でしたが、カーテン越しの外がみるみる白くなっていくのに思わずびっくり。

日中の気温の変化を見てみると、11:00時と 13:00時には、マイナスを記録していました。ちょうどセミナーの時間帯でしたね。どうりで寒いはず。下の写真、左は、白キクラゲ、中央は、氷砂糖のミツ、右が、ハスの実です。

20061218白キクラゲ 20061218氷砂糖ミツ 20061218ハスの実1

下の写真、左は、ハスの実をゆがいたもの。上の材料と、ギンナン、青梅の砂糖漬けなどを加えて作ったのが、中央の漢方デザート。他に、松の実やナツメなどを入れてもおいしそう。右の写真は、生のコンブを巻き取っているところ。これはみそ漬け用として用いるものなんだそうですよ。

20061218ハスの実2 20061218漢方デザート 20061218みそ漬け用生昆布

下の写真、左は、友人から届いたぽんかん。熊本の天草産のもので、できるだけ農薬の使用を減らして栽培したものだそうです。中央は、お昼に食べたキノコ入り揚げモチの雑煮。モチを揚げているので、外かりかり中ほんわり。右は、今年二度目(たぶん)の雪景色。さすがに今日は冷え込みが厳しいです。

20061218ポンカン 20061218揚げモチ雑煮 20061218雪景色

昨日、夜七時頃から、女性のスケート競技を観戦していました。放送が終了して、NHK にチャンネルを変えると、認知症を取り上げた番組が放送されていました。司会者が間に入り、痴呆症と何らかの関係のある観客の皆さんと、医療関係者の意見や情報の交換をすることで、認知症をより多くの方に、もっと知っていただくためのもののようでした。

番組は、すでに後半へ入っていましたが、残り一時間足らずの間に、いろいろ興味を引く、あるいは感銘を受ける内容がちりばめられていました。中でも、

(1) 認知症と診断に至までの、日本と諸外国との差
(2) 脳の萎縮と認知機能異常なしという関係の不思議な点
(3) センター方式という方法による介護のあり方

の三つの点に興味や感銘を受け、今後の認知症に対する方向性が見えてきたように思えました。

(1) 認知症と診断に至までの、日本と諸外国との差

日本では、本人はもとより、家族が認知症なのでは、と感じて病院で検査を受け、脳の断層撮影などにより判断されるのが一番多いケースになるかと思います。ところが、アメリカでは、健常者の方やアルツハイマー型の認知症の患者さんの脳に関するデータがとてつもないくらい蓄積されていて、10年前から認知症の前兆を判断できるということです。

この差はとても大きいものです。早めの治療が、病気である痴呆症の改善にとても重要となるからです。アルツハイマー型痴呆症は、脳の特定部位である「嗅内皮質」が萎縮することで起こる病気であるといわれています。その前兆を 10年前から把握できるというのですから、すごいものだと思います。

日本では、アナログ時計を描かせる事で、この病気の診断に役に立っているということでした。というのも、医師との会話は正常なので、医師も患者さんが認知症であることを全く知らない場合が多いそうです。

そのときに役立つのが、10:10 分のアナログ時計を、白紙の紙に書かせる事。こんなに簡単な事である程度「痴呆症」を判断することができる、という事でいろんなところでそれが活用されているそうです。ひまわりも、すぐやってみました。よかった。書く事ができました。これは「空間認知」を調べる手法なんだそうです。

脳の嗅内皮質は海馬ととても密接な関係があり、これら海馬や嗅内皮質の領域は、短期記憶の「記憶の固定化」と密接な関係を持っているといわれています。また、これらの領域を含む大脳辺縁系には、ドーパミン作動性神経が関与しています。A10神経といわれる「中脳腹側被蓋野(ちゅうのうふくそくひがいや)」からは、嗅内皮質や、扁桃体、嗅結節、側座核、梨状葉などの大脳辺縁系へ、そのドーパミン作動性神経を投射しているのだそうです。

ドーパミンは、覚醒作用を示し、快楽を生じて、人間の創造性を発揮するよう「脳の快感神経」として働きますから、認知症は、内嗅皮質の萎縮や、ドーパミンとの関連から、記憶やそういったやる気を喪失させてしまうことが説明できるかと思います。アロマテラピーは、このような分野にもとても有効に働くことが期待されていますね。

ドーパミンに関しては、

2006.08.03 パーシャルアゴニスト
2006.07.29 大脳基底核とDA
2006.07.24 脳幹に配置された神経核
2006.07.21 脳内神経伝達物質 DA

を参照下さい。

(2) 脳の萎縮と認知機能異常なしという関係の不思議な点

ある病院で、アルツハイマー型の認知症の脳の状態と、認知機能との関係を調べていたときに、脳の萎縮が起こっているのに、認知機能には異常のない患者さんがいることに気づいたそうです。その割合は、全体の 10%ほどで、どうして脳に変化があるのに、認知レベルが高く維持されているのがとても不思議だ、ということで、何故そうなのかをいろいろ調べてみたそうです。

調べていくうちに、10%の患者さんに「共通して見られる事」があったそうです。それは、卓球、植物観察、新聞記事の切り抜き、ハイキング・・・、など、なんらかの活動を継続的に行っている、ということだったそうです。特に外国では、社交ダンスなど、男女が近くでダンスをする事を習慣的に行っている方々は、脳の萎縮があっても、かなりの割合で認知機能に異常がないというデータがあるそうです。

これは、そのような活動を習慣的に続けている事で、脳の神経伝達物質を多くし、シナプスを太くするため、脳の萎縮があっても認知障害に異常がでないのではないのかという推論でした。このことは、脳の予備力とか、認知予備力などといわれています。

知的レベルの維持の手がかりが、こういったとても身近な日々の暮らしの中にあるわけで、「痴呆の予防」に「快刺激」という常に心地よい、楽しい刺激を与えることが脳に重要なのか、あらためて思い知らされました。

(3) センター方式という方法による介護のあり方

このテーマに関して、とても考えさせられました。20年前の介護のビデオが映し出されました。そこでは、痴呆になってしまった患者さんを、個人として手当てするのではなく、痴呆になった人の扱いとして、辱めを受けるおむつの取り換えや、入浴シーンがありました。

今では、本人はどう思っているのか、本人に対する考え方が、果たしてあのような事であってよいものなのか、とう問題を提起するにいたったそうです。痴呆症という病気になっても、個人が尊重されるべきで、本人として介護している考え方を引きだすための介護の手がかりに、センター方式を導入した熊本県にある施設の取材が紹介されていました。

二ヶ月間の取材の中で、ある夫婦の「認知症に取り組む姿」と「施設でのセンター方式」で介護にあたる職員と医師の姿がとても印象的でした。

奥さんが、認知症になり自宅で介護され、それを支えている旦那さんの苦悩。これは、本当に介護にあたっている家族の方々でないとわからない苦悩のようでした。結局、医師に相談して精神科の病院に入院する事を勧められたそうです。そのとき、センター方式に取り組む介護施設がある事を知り、そこで介護していただくことを託しました。

介護施設に入った痴呆症の奥さんは、言葉をはっきり話す事ができないくらい症状が悪化しており、感情の起伏が激しく、テーブルに上がったり、介護をする方に危害を与えたり、手をつけることができない状態にあったようです。

そこで登場したのがセンター方式。これは、患者さんが示す行動、気分の変化を分析し、その背景を考えて、介護の方法を決めるというもの。先ほどの奥さんの言動に、「ばかにして」、「あっちへいけ」、「たたくよ」、「つばを皿につけたり、畳につけたりする行動」を示すことが観察されました。

そのことをもとに、「自分でできることを何かもう少しやりたいのだ」と訴えているような、そして、「夫の側にいて自分はまだ少しはできる」ということへの「不安やストレス」が原因なのでは、というすることを分析して、この患者さんの「したい事、できる事は何か」を考えてあげ、一時介護士付き添いで旦那さんの家を訪ねる、そういう介護方針を打ち出しました。

介護士の方は、患者さんが以前「本人が家族を支えていた姿をそこに見た」そうです。また、興奮状態を 24時間追跡して、生活変化シートに書き込んでいったところ、午後 3時から 5時にピークになることを突き止めたそうです。それはどうしてなのかを考えたとき、「昔の主婦のときの記憶の現れ」で、夕食をするために、買い物に行き、食事をしていた事の現れがそのような興奮状態にさせているのではないのか、ということにいきつき、「食事の支度や片づけを一緒にしませんか」と話しかけ、実際に参加していただいたそうです。

ときには、嫌がる日もあったそうですが、徐々に会話ができるようになっていきました。一番の驚きが「ごめんなさい」という言葉で、患者さんの口や表現で見て取れたとき、と介護士さんがお話されていました。テレビを見ていたひまわりも、患者さんの表情や顔つきが、全く違っていることに驚きました。

また、会場の医師の説明にもとても驚かされました。医師の立場からすると、夕暮れ症候群という事で、薬を処方するそうです。また、24時間、医師が患者さんに付きっきりで診る事もできないのが現状であるということもいわれていました。薬は確かに、興奮状態を押さえることはできても、その背景や原因を治すことはできません。「薬ではできない介護」、これが将来の介護の姿になるのではないでしょうか。

今回の放送で、いろいろな事を考えさせられる事となりました。

たった今、この記事を書いているときに、七時の NHKラジオでは、認知症の介護に携わっている家族への聞き取り調査が行われたそうです。「精神的な疲れ」や「どうして介護したらよいのかわからない」とか、「受け入れの問題で、このような患者さんは受け入れる事ができない」などの結果がニュースで流れていました。

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