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今日は、朝から小雨模様。一日中シトシト雨が降る天気でした。久しぶりに山へ行ってきましたが、道路沿いにあるツツジには、雪囲いが施されていました。昨年は、12月に降った雪がそのまま根雪となりましたから、早めの雪対策が必要ですね。

下の写真、左は、トンブリトロロ。山芋をすったところに、トンブリを入れたもの。中央は、雨の中、ツツジの雪囲い作業。右は、山の杉林の中にあるみそ蔵です。トラックの冷蔵コンテナを利用したものです。

200611120芋トンブリトロロ 20061120沿道の雪囲い 2006120山のみそ蔵

下の写真は、ラベンダーの畑です。結局今まで草刈りをできずじまい。枯れていく草の中、雨に濡れたラベンダーの葉が、とても生き生きと感じられました。

20061120ラベンダーナナ成沢 20061120ラベンダーおかむらさき1 20061120ラベンダーおかむらさき2

下の写真は、ばっぱが夜なべ仕事でむいた柿です。このように、戸外の軒先につるして干し柿にします。これが、ちょっと黒ずんで、しなびてくると甘い干し柿になりますので、それを山にきたついでにつまみ食いしてしまうのです。

20061120干し柿1 20061120干し柿2 2006120干し柿3

下の写真、左は、いつも帰りに通る近くの峠。全体にあまりきれいに紅葉しなかったようですが、昨年も同じ頃にここで写真を撮りました。正面にポールが見えますが、昨年は、隠れてしまうくらいの雪が積もりました。中央は、斜面にとても小さなもみじが、ちょっと色づいてとてもきれいでした。右は、お昼に食べた焼きそば。

20061120初冬の峠道 20061120ミニもみじ 2006120焼きそば

下の写真は、ラベンダー畑の入り口から撮ったもの。左には、まだ葉っぱをつけた栗の木があります。

20061120ラベンダーの畑1

下の写真は、ラベンダーの畑です。手前のラベンダーが早咲きのナナ成沢。中央付近が早咲き 3号(濃紫 3号)、一番奥がおかむらさきです。雨に濡れて、葉がとてもきれいに輝いていました。

20061120ラベンダーの畑2

下の写真は、先ほどの峠から撮ったもの。昨年は、15日に同じ場所から撮りましたが(2005.11.15 冬の足跡が聞こえてきました)、もう少し紅葉がきれいな色だったようです。

20061120初冬の峠

さて、「2006.11.15 コーヒーとがんの関係で、コーヒーがどのようなメカニズムで、がん細胞を攻撃する「NK細胞」を活性化するのか、とても興味を持ったのをきっかけに、昨日は(「2006.11.19 プリン骨格とカフェインとアデノシン)、コーヒーの中に含まれているカフェインと、アデノシンとの関係を、化合物の構造の面からみてきました。

プリン骨格を中心に「カフェイン」、そして、核酸や ATP(アデノシン三リン酸)を構成する重要な塩基の「アデニン」、アデニンとリボースを持つ「アデノシン」、さらには、「カフェインとアデノシンの関係」を見る事で、核酸(DNAやRNA)の構成要素である塩基、アデニンは、アデノシンの構成要素となり、そのアデノシンは、リボースと結合して ATPの構成要素となっていることがわかりました。

今日は、カフェインとアデノシンの関係を、それらの化合物の構造の側面からだけではなく、神経伝達物質としての側面を考慮にいれ考えてみたいと思います。

昨日も、アデノシンは、生体のいたるとこにに存在し、細胞間の調整に関わっており、特に脳内では、神経伝達物質としての定義には当てはまらないまでも「神経修飾物質」として働いている事を書きました。

神経伝達物質は、神経細胞(ニューロン)から、次の神経細胞へ放出される化学的なシグナルとして働く物質です。神経細胞の単位は、細胞体、樹状突起、軸索という構成で成り立っています。その神経細胞と神経細胞の間には、すき間があいており、この部分は「シナプス」と呼ばれ、そのすき間は「シナプス間隙」と呼ばれています。

軸索の末端まで、刺激が伝わってくると、軸索の末端にあるシナプス小胞という部分から、神経伝達物質が放出されて、次の神経細胞に刺激を伝えていく仕組みになっています。その神経伝達物質を受け止める部分は、受容体と呼ばれ、受け止められたことによって刺激が神経細胞を興奮させ、次の神経細胞を刺激していきます。

ここで、アデノシンの話に戻りますが、アデノシンが神経伝達物質のような振るまいをするといことは、そのアデノシンを受け止める受容体が存在することになりますが、これは、アデノシン受容体といわれるそうです。通常、いろいろな神経細胞があって、いろいろな神経伝達物質を放出しているのだそうですが、アデノシンを放出する神経細胞は、今のところ見いだされていないそうです。

では、どのようにして、アデノシンが放出され、神経細胞に影響を与えるのかというと、

・神経伝達物質とともに放出されたアデノシン三リン酸(ATP)が、細胞外のヌクレオチダーゼによって、アデノシンが先ほどのシナプス間隙に作られるのだそうです。
・作られたアデノシンは、次の神経細胞のアデノシン受容体によって受け止められると、その神経細胞に対していろいろな働きをします。
・いろいろな働きは、アデノシン受容体の種類によって決まっているそうで、四種類程(A1、A2a、A2b、A3)の受容体が明らかにされているようです。
・これらの受容体は、代謝型受容体といわれ、特定の酵素を調節する細胞内のセカンドメッセンジャーの産生を調節。

Gタンパク質、アデニル酸シクラーゼ、cAMP(サイクリックAMP)、ホスフォリパーゼCなどいろいろなものが関係しており、非常に複雑なお話なので、代謝型受容体については、後日投稿したいと考えています。

神経細胞の軸索の終末から放出(シナプス間隙で合成)されたアデノシンは、アデノシン受容体の種類により、複雑な働きをするようです。脳の線条体や、海馬にもアデノシン受容体があり、微妙な調整が行われているようです。これらの点に関しても、後日このブログでも詳しく見ていきたいと思います。

・カフェインとの関係で大切なのが、脊髄を含む中枢神経に存在しているアデノシンA1受容体
・アデノシンが、アデノシンA1受容体に作用することで、中枢神経系の伝達物資の抑制や、神経の興奮を抑制する働きをしている

ここで、カフェインの登場です。カフェインの構造とアデノシンの構造には、プリン骨格を有していましたよね。そうです、カフェインがアデノシン受容体に結合することで、アデノシンそのものの結合を阻害し、アデノシンが本来働らかせていた抑制の作用が起こらない事になります。

以前
2006.08.03 パーシャルアゴニストでは、アゴニスト、アンタゴニスト、パーシャルアゴニストについて書いた事があります。この場合、アデノシンは作動させるためにはたらくものとして「リガンド」、カフェインは、「リガンド」であるアデノシンの働きを阻害するために働く「アンタゴニスト」として働く事になります。

そこで、これらの事をまとめてみると、

・カフェインは、神経興奮を抑制するために働くアデノシンとその構造が似ている(プリン骨格)
・カフェインは、神経細胞を直接興奮させるような働きをするのではなく、抑制作用を示すアデノシンの働きを妨げる形で、神経細胞を興奮させていることになる

今回のブログタイトルとは直接関係ありませんが、植物療法によく使われるハーブに、西洋カノコ草があります。この中に含まれている「リグナン」という成分は、カフェインとは逆に、アデノシン受容体へ作用し、鎮静効果を示します。

リグナンは、このとき、アゴニストとして、アデノシンと同じような作用を引き起こす成分ということになるようです。ですから、西洋カノコ草に含まれるリグナンは、アデノシン受容体に作用して鎮静効果をもたらすアゴニストとして働く事になるわけです。

コーヒーに含まれるカフェインは、直接神経細胞を興奮させるように働くわけではく、アデノシンの神経細胞の興奮を抑制する働きを阻害する形で作用することが、その構造からわかりました。いずれにしても、交感神経を緊張させ、末端からノルアドレナリンを放出することになるようです。

ところで、カフェインを含むコーヒーと、リグナンを含む西洋カノコ草を一緒に飲むと、いったいどうなるのでしょうかね。

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