● ひまわりが勝手に選んだ植物療法関係の記事一覧の目次です
今日の朝も、カーテンごしに青空が広がっていました。昨日に続き、太陽が降り注ぐとても穏やかな天候でした。この週末は、戸外で過ごされる方々が多かったんではないでしょうか。それでも、秋田市は、昨年よりも 2日早い初霜と初氷を記録したそうです。放射冷却現象で気温が 0.4度と、とても寒い朝でしたね。それでも、日中は 12.2度だったそうです。
東京では、気温 10度そこそこの雨の中「東京女子マラソン大会」が行われたようですが、この天気をわけてあげたかったです。下の写真は、昨夜のおかず、チキン南蛮。タルタルソースを添えて出来上がり。ヌーヴォも一緒。それに、トンブリのシーチキンあえ。
下の写真、左は、キムチ。朝からばっぱは、忙しそうにぼたもちを作っていました。田舎では、ナベツキモチといって、ナベの中でモチをツブして作るからだとかで、ナベスリモチともいわれているそうです。作り立てのナベスリモチを持って、親戚の所へ行ってきたようです。右は、モチにかける「タレ」で、クルミのタレです。
下の写真、左は、ゴマダレ。皿にもられたナベスリモチ。ゴマダレが皿から垂れたようになっていますが、白い皿のキャンバスの上に絵を描いたような感じ。右は、イリ豆腐。
先日「2006.11.15 コーヒーとがんの関係」でも投稿しましたが、コーヒーがどのようなメカニズムでがん細胞を攻撃する「NK細胞」を活性化するのか、とても興味を持っていました。それは、
・コーヒーは中枢神経系を興奮させ、心臓の心拍出量を増大させ、脈拍を増大させるものなので、「交感神経緊張」
・NK細胞は、顆粒球とともに「交感神経」の支配を受けている
・ところが、NK細胞は、副交感神経支配下でその活性をしめす
ということでした。
この研究結果の報告には、「コーヒーを飲む」といことだけで、コーヒーに含まれている成分までは書いてありませんでした。ひまわりもよくコーヒーは飲みますが、コーヒーの事はまったく分かりません。コーヒーを飲むとき、豆を挽いて入れますが、その豆自体は、もとももとのコーヒー豆を焙煎したものです。もともとのコーヒー豆の事を生豆というのだそうですが、それが焙煎されることで、化学変化が起こり、コーヒー独特の香りや味、色などが引き出されるのだそうです。
当然、そのような変化が起こっているわけですから、中に含まれている成分にも変化があらわれます。フリー百科事典「ウィキペディア」には、生豆、焙煎豆、抽出液(コーヒーですよね)の、それぞれの中に含まれている成分と、その成分の時系列的な変化をあらわした円グラフが載っていました。
● 生豆
・糖類が半分以上、それに次いで脂質やアミノ酸・タンパク質
・それら基本的な成分の他に、クロロゲン酸類、カフェイン、トリゴネリンなどが続いています
● 焙煎豆
・生豆と同じように、糖類、脂質やアミノ酸・タンパク質が主要な成分
・脂質やアミノ酸・タンパク質と同量かそれ以上に褐色色素
・そして、クロロゲン酸類、カフェイン、トリゴネリンなどが生豆と同じように続いています
● 抽出液
・全体の 98 〜 99%が水
・1 〜 2%の成分を 100%とすると、半分以上が糖類、次いで、褐色色素、アミノ酸・タンパク質
・残りが、クロロゲン酸類、カフェイン、トリゴネリンなど
となっていました。全体的に、同じ成分がでてくるようですが、焙煎によって、化学的な変化が起こり、実際には、
・クロロゲン酸類は、タンニンの一種といわれていた様ですが、現在は、クロロゲン酸類と呼ばれています。
・文献によっては、ポリフェノールといったり、そではない、といったいろいろ複雑な問題を含んでいるようなので、これらの化合物についても、後日調べてみたいと思っています。
・クロロゲン酸類は、焙煎によって大部分が分解され、その後の化学変化によって、香り成分や褐色色素といったいろいろな成分を作り出しているようです。
・そして、おもしろいことに、この成分は、胃液の分泌促進や、活性酸素の除去に貢献しているようです。
・トリゴネリンもまた、熱によって分解され「ビタミンB3(ナイアシン)」へと変化するそうです。
・ビタミンB3(ナイアシン)って、「2006.11.08 がんと統合失調症の関係」で もでてきました。
・ノルアドレナリンからのアドレナリンの生成を減少させ、アドレノクロムの合成を阻害することで、統合失調症の改善を図ることのできるといわれたビタミンでした。
以上のようなことから、今回は、コーヒーといえば誰もが思いつく「カフェイン」と「NK細胞」との関係を調べてみる事にしました。
そもそも、カフェインという物質は「アルカロイド」という化合物の仲間だそうです。アルカロイドといえば、生理活性作用の著しい化合物で、ハーブなどに含まれる場合には、薬の素材として利用されてきました。
「植物療法(R.F.ヴァイス著、山岸晃訳、八坂書房)」では、薬用植物を、「緩和」、「中間」、「強力」に分類していますが、「強力」な領域に属する薬用植物に含まれている成分に、ベラドンナのアトロピン、キナノキのキニーネ、ケシのモルヒネなどを掲げています。これらはいずれも「アルカロイド」に分類されています。
アルカロイドは「天然由来の含窒素化合物中、主にアミノ酸やタンパク質、核酸などに属する化合物を除く「含窒素有機化合物」」といわれています。アミノ酸やタンパク質、核酸には、窒素を含んでいますので、それ以外の窒素を含む有機化合物ということになるようです。カフェインもこの分類に従うと、アルカロイドになります。
そこで、カフェインの構造を見てみたいのですが、その前に、六角形と五角形の構造に窒素を含む「プリン骨格(環)」といわれる化合物を見てみましょう。それは、カフェインが、このプリン骨格を基本としているからです。下記の図をご覧下さい。プリン骨格を中心に、カフェインや、他の化合物、そして、DNAやRNAの構成成分である「塩基」のうちの二つである「アデニン」と「グアニン」との関係をあらわしています。
まず最初に、中心にある「プリン骨格」をご覧下さい。この骨格にある「R1、R2、R3」の部分が、すべてメチル基(-CO3)になると、中心に書かれているプリン骨格から、左上に伸びている矢印の先に示されている「カフェイン」になります。プリン骨格の基本部分が、全く同じである点がポイントです。
DNA は、リン酸、糖(デオキシリボース)、塩基が多数結合した二重らせん構造を持ってますが、その塩基のうち二種類の塩基もまた、同じようなプリン骨格を持っていることにも注目下さい。それらの塩基は、中心に書かれているプリン構造から、左右の下に向かって伸びている点線の矢印の先に示されています。
特に、アデニンという塩基に注目して下さい(右下)。アデニンは、核酸(DNAやRNA)の単位であるヌクレオチドやATP(エネルギーの通貨単位で、アデノシン三リン酸でしたよね)を構成する重要な塩基です。このアデニンに、リボース(RNAの単位であるヌクレオチドや ATPに含まれている)が結合したものが、アデノシンといわれる化合物です。
・核酸には、DNAとRNAの二種類があり、構成単位はヌクレオチド
・ヌクレオチドは、リン酸と糖と塩基が構成単位
・DNA(デオキシリボ核酸)は、リン酸と糖(デオキシリボース)と塩基(アデニン、チミン、グアニン、シトシン)
・DNA は、二重らせん構造
・RNA(リボ核酸)は、リン酸と糖(リボース)と塩基(アデニン、ウラシル、グアニン、シトシン)
・RNA は、一本の鎖
・アデノシン三リン酸(ATP)は、アデノシンに、リン酸が三分子結合
・アデノシンは、アデニンに、リボースという糖が結合
そして、今日のブログタイトルの一つ、カフェインとアデノシンの関係を、中央の点線の矢印であらわしました。この関係がとても重要になってきます。
プリン骨格を中心に「カフェイン」、そして、核酸や ATP(アデノシン三リン酸)を構成する重要な塩基の「アデニン」、アデニンとリボースを持つ「アデノシン」、さらには、「カフェインとアデノシンの関係」を再度、上の図で確認できるかと思います。
核酸(DNAやRNA)の構成要素である塩基、アデニンは、アデノシンの構成要素となり、そのアデノシンは、リボースと結合して ATPの構成要素ともなっています。それだけでなく、アデノシンは、生体のいたるとこにに存在し、細胞間の調整に関わっているそうです。特に脳内では、神経伝達物質としての定義には当てはまらない「神経修飾物質」として働いているそうです。
・・・明日(「2006.11.20 カフェインはアデノシンのアンタゴニスト」)へと続く。
● 関連記事
・「2007.08.10 プリン・ピリミジン誘導体と核酸」
・「2007.06.30 主な活性酸素の発生源と抗酸化」
・「2006.11.21 コーヒーとNK細胞の活性」
・「2006.11.20 カフェインはアデノシンのアンタゴニスト」
・「2006.11.19 プリン骨格とカフェインとアデノシン」
・「2006.11.15 コーヒーとがんの関係」
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今日の朝も、カーテンごしに青空が広がっていました。昨日に続き、太陽が降り注ぐとても穏やかな天候でした。この週末は、戸外で過ごされる方々が多かったんではないでしょうか。それでも、秋田市は、昨年よりも 2日早い初霜と初氷を記録したそうです。放射冷却現象で気温が 0.4度と、とても寒い朝でしたね。それでも、日中は 12.2度だったそうです。
東京では、気温 10度そこそこの雨の中「東京女子マラソン大会」が行われたようですが、この天気をわけてあげたかったです。下の写真は、昨夜のおかず、チキン南蛮。タルタルソースを添えて出来上がり。ヌーヴォも一緒。それに、トンブリのシーチキンあえ。
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下の写真、左は、キムチ。朝からばっぱは、忙しそうにぼたもちを作っていました。田舎では、ナベツキモチといって、ナベの中でモチをツブして作るからだとかで、ナベスリモチともいわれているそうです。作り立てのナベスリモチを持って、親戚の所へ行ってきたようです。右は、モチにかける「タレ」で、クルミのタレです。
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下の写真、左は、ゴマダレ。皿にもられたナベスリモチ。ゴマダレが皿から垂れたようになっていますが、白い皿のキャンバスの上に絵を描いたような感じ。右は、イリ豆腐。
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先日「2006.11.15 コーヒーとがんの関係」でも投稿しましたが、コーヒーがどのようなメカニズムでがん細胞を攻撃する「NK細胞」を活性化するのか、とても興味を持っていました。それは、
・コーヒーは中枢神経系を興奮させ、心臓の心拍出量を増大させ、脈拍を増大させるものなので、「交感神経緊張」
・NK細胞は、顆粒球とともに「交感神経」の支配を受けている
・ところが、NK細胞は、副交感神経支配下でその活性をしめす
ということでした。
この研究結果の報告には、「コーヒーを飲む」といことだけで、コーヒーに含まれている成分までは書いてありませんでした。ひまわりもよくコーヒーは飲みますが、コーヒーの事はまったく分かりません。コーヒーを飲むとき、豆を挽いて入れますが、その豆自体は、もとももとのコーヒー豆を焙煎したものです。もともとのコーヒー豆の事を生豆というのだそうですが、それが焙煎されることで、化学変化が起こり、コーヒー独特の香りや味、色などが引き出されるのだそうです。
当然、そのような変化が起こっているわけですから、中に含まれている成分にも変化があらわれます。フリー百科事典「ウィキペディア」には、生豆、焙煎豆、抽出液(コーヒーですよね)の、それぞれの中に含まれている成分と、その成分の時系列的な変化をあらわした円グラフが載っていました。
● 生豆
・糖類が半分以上、それに次いで脂質やアミノ酸・タンパク質
・それら基本的な成分の他に、クロロゲン酸類、カフェイン、トリゴネリンなどが続いています
● 焙煎豆
・生豆と同じように、糖類、脂質やアミノ酸・タンパク質が主要な成分
・脂質やアミノ酸・タンパク質と同量かそれ以上に褐色色素
・そして、クロロゲン酸類、カフェイン、トリゴネリンなどが生豆と同じように続いています
● 抽出液
・全体の 98 〜 99%が水
・1 〜 2%の成分を 100%とすると、半分以上が糖類、次いで、褐色色素、アミノ酸・タンパク質
・残りが、クロロゲン酸類、カフェイン、トリゴネリンなど
となっていました。全体的に、同じ成分がでてくるようですが、焙煎によって、化学的な変化が起こり、実際には、
・クロロゲン酸類は、タンニンの一種といわれていた様ですが、現在は、クロロゲン酸類と呼ばれています。
・文献によっては、ポリフェノールといったり、そではない、といったいろいろ複雑な問題を含んでいるようなので、これらの化合物についても、後日調べてみたいと思っています。
・クロロゲン酸類は、焙煎によって大部分が分解され、その後の化学変化によって、香り成分や褐色色素といったいろいろな成分を作り出しているようです。
・そして、おもしろいことに、この成分は、胃液の分泌促進や、活性酸素の除去に貢献しているようです。
・トリゴネリンもまた、熱によって分解され「ビタミンB3(ナイアシン)」へと変化するそうです。
・ビタミンB3(ナイアシン)って、「2006.11.08 がんと統合失調症の関係」で もでてきました。
・ノルアドレナリンからのアドレナリンの生成を減少させ、アドレノクロムの合成を阻害することで、統合失調症の改善を図ることのできるといわれたビタミンでした。
以上のようなことから、今回は、コーヒーといえば誰もが思いつく「カフェイン」と「NK細胞」との関係を調べてみる事にしました。
そもそも、カフェインという物質は「アルカロイド」という化合物の仲間だそうです。アルカロイドといえば、生理活性作用の著しい化合物で、ハーブなどに含まれる場合には、薬の素材として利用されてきました。
「植物療法(R.F.ヴァイス著、山岸晃訳、八坂書房)」では、薬用植物を、「緩和」、「中間」、「強力」に分類していますが、「強力」な領域に属する薬用植物に含まれている成分に、ベラドンナのアトロピン、キナノキのキニーネ、ケシのモルヒネなどを掲げています。これらはいずれも「アルカロイド」に分類されています。
アルカロイドは「天然由来の含窒素化合物中、主にアミノ酸やタンパク質、核酸などに属する化合物を除く「含窒素有機化合物」」といわれています。アミノ酸やタンパク質、核酸には、窒素を含んでいますので、それ以外の窒素を含む有機化合物ということになるようです。カフェインもこの分類に従うと、アルカロイドになります。
そこで、カフェインの構造を見てみたいのですが、その前に、六角形と五角形の構造に窒素を含む「プリン骨格(環)」といわれる化合物を見てみましょう。それは、カフェインが、このプリン骨格を基本としているからです。下記の図をご覧下さい。プリン骨格を中心に、カフェインや、他の化合物、そして、DNAやRNAの構成成分である「塩基」のうちの二つである「アデニン」と「グアニン」との関係をあらわしています。
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まず最初に、中心にある「プリン骨格」をご覧下さい。この骨格にある「R1、R2、R3」の部分が、すべてメチル基(-CO3)になると、中心に書かれているプリン骨格から、左上に伸びている矢印の先に示されている「カフェイン」になります。プリン骨格の基本部分が、全く同じである点がポイントです。
DNA は、リン酸、糖(デオキシリボース)、塩基が多数結合した二重らせん構造を持ってますが、その塩基のうち二種類の塩基もまた、同じようなプリン骨格を持っていることにも注目下さい。それらの塩基は、中心に書かれているプリン構造から、左右の下に向かって伸びている点線の矢印の先に示されています。
特に、アデニンという塩基に注目して下さい(右下)。アデニンは、核酸(DNAやRNA)の単位であるヌクレオチドやATP(エネルギーの通貨単位で、アデノシン三リン酸でしたよね)を構成する重要な塩基です。このアデニンに、リボース(RNAの単位であるヌクレオチドや ATPに含まれている)が結合したものが、アデノシンといわれる化合物です。
・核酸には、DNAとRNAの二種類があり、構成単位はヌクレオチド
・ヌクレオチドは、リン酸と糖と塩基が構成単位
・DNA(デオキシリボ核酸)は、リン酸と糖(デオキシリボース)と塩基(アデニン、チミン、グアニン、シトシン)
・DNA は、二重らせん構造
・RNA(リボ核酸)は、リン酸と糖(リボース)と塩基(アデニン、ウラシル、グアニン、シトシン)
・RNA は、一本の鎖
・アデノシン三リン酸(ATP)は、アデノシンに、リン酸が三分子結合
・アデノシンは、アデニンに、リボースという糖が結合
そして、今日のブログタイトルの一つ、カフェインとアデノシンの関係を、中央の点線の矢印であらわしました。この関係がとても重要になってきます。
プリン骨格を中心に「カフェイン」、そして、核酸や ATP(アデノシン三リン酸)を構成する重要な塩基の「アデニン」、アデニンとリボースを持つ「アデノシン」、さらには、「カフェインとアデノシンの関係」を再度、上の図で確認できるかと思います。
核酸(DNAやRNA)の構成要素である塩基、アデニンは、アデノシンの構成要素となり、そのアデノシンは、リボースと結合して ATPの構成要素ともなっています。それだけでなく、アデノシンは、生体のいたるとこにに存在し、細胞間の調整に関わっているそうです。特に脳内では、神経伝達物質としての定義には当てはまらない「神経修飾物質」として働いているそうです。
・・・明日(「2006.11.20 カフェインはアデノシンのアンタゴニスト」)へと続く。
● 関連記事
・「2007.08.10 プリン・ピリミジン誘導体と核酸」
・「2007.06.30 主な活性酸素の発生源と抗酸化」
・「2006.11.21 コーヒーとNK細胞の活性」
・「2006.11.20 カフェインはアデノシンのアンタゴニスト」
・「2006.11.19 プリン骨格とカフェインとアデノシン」
・「2006.11.15 コーヒーとがんの関係」