● ひまわりが勝手に選んだ植物療法関係の記事一覧です(月別に並べてあります)
植物療法に関係のある記事のもくじ(2005.06.04 〜 現在まで)

昨日の大雨がウソのような青空が広がる秋田市。陽に当たると身体がポカポカしてきます。穏やかで、気持ちのよい天気とは裏腹に、テレビでは、戦争の話題や、いじめの問題と、大変な世の中の現実的な側面を見せつけられています。

下の写真、右から、お昼に食べたラーメン。中央と右側が、晩ご飯。何でもハンペンをお好み焼き風に見立てて作ったものだそうです。柔らかでフカフカの触感な何ともいえませんでした。それに、卵入りカレーライス。このカレーライスはレトルトではなく、昔風のカレーライス。

20061018ラーメン 20061018お好み焼き風ハンペン 20061018カレーライス

今日の朝刊に「AMPの若返り効果、実験データで裏付け」という記事が目にとまりました。それは、ターンオーバーの速度を上げて肌を若返らせる効果が、タイトルの「AMP」という物質にある、とい事が書かれていたからです。この AMP とは、生体内にあるアデノシン 1 リン酸 2 ナトリウム OT という物質なんだそうです。

通常 AMP は、単に「アデノシン 1 リン酸」といわれていますが、同じ AMP でも「アデノシン 1 リン酸 2 ナトリウム OT」として記載されていたので調べてみました。そしたら、「エナジーシグナル AMP」、成分名が「アデノシン 1 リン酸 2 ナトリウム OT」として、2004.10.19 厚生労働省から新薬効成分の効能効果を取得したものなんだそうです。その効能効果が「メラニンの蓄積を抑え、シミ、ソバカスを防ぐ」というもの。

生体の 60兆ともいわれている細胞には、エネルギーを作り出す場所があり、いろいろな生命活動をするための燃料に利用しています。そのエネルギーの通貨単位が ATP といわれるアデノシン 3 リン酸といわれるもの。その構造を示したのが、下記の図です。

20061018エネルギーの通貨単位ATP

説明を簡単にするために、分子の構造を省略し、「アデノシン」と「リン酸」という単位で組み合わせてみました。基本となるアデノシンに、リン酸が一つ結合したものが「アデノシン 1 リン酸(AMP)」、リン酸が二つ結合したものが「アデノシン 2 リン酸(ADP)」、三つが「アデノシン 3 リン酸(ATP)」ということを表しています。

アデノシンは、アデニンという窒素を含んだものに、リボースという 5つの炭素を持つ単糖類(五炭糖)が結合したもの。

ただ、ADP を構成しているアデノシン 1 リン酸と一個のリン酸の結合に「〜」の記号が、同じように、ATP を構成しているアデノシン 2 リン酸と一個のリン酸の結合に「〜」という記号が使われています。これは、高エネルギーリン酸結合という結合状態をあらわしています。

この結合のうち、末端のリン酸が加水分解(水を加えることで化学変化が起こる事)されて、切り離され ADP に変わるときに、大きなエネルギーが作られ、そのエネルギーを使って、生体は活動を営んでいます。

末端から二番目のリン酸の結合も高エネルギーリン酸結合ですが、生体は、普通、この結合を分解してエネルギーを利用しないそうです。

このように ATP からエネルギーを取り出すことで、皮膚におけるターンオーバーも行われるわけです。ここで、ブログタイトルにある「AMP」ですが、これは、もともとアデノシン 3 リン酸(ATP)を構成する要素になっています(上の図参照)。

今度は、アデノシン 3 リン酸(ATP)から アデノシン 1 リン酸(AMP)が作られる過程を示したのが、下記の図です。

20061018サイクリックAMP

合成の真ん中に サイクリックAMP(cAMP)というものがでてきました。これは、生体膜を介した情報の伝達系として、セカンドメッセンジャーとして発見された物質です。神経伝達物質など、情報を伝える物質が受容体に結合する(ファーストメッセンジャー)ことで、受容体に興奮が起こり、その興奮が細胞内の情報の伝達をするきっかけとなるのが、セカンドメンセンジャーです。

このサイクリックAMPは、アデノシン 3 リン酸(ATP)から、アデニル酸シクラーゼという酵素によって、サイクリックAMP が作られ、それが、ホスホジエステラーゼという酵素によって、アデノシン 1 リン酸が作られるんだそうです。

このように、アデノシン 1 リン酸(AMP)は、エネルギーの通過単位として重要なアデノシン 3 リン酸(ATP)を構成する要素にもなっていますが、そのアデノシン 3 リン酸(ATP)から作られる細胞内のセカンドメッセンジャーとなるサイクリックAMP を経て作られる物質でもあるようです。

表皮の細胞の代謝を促進させるエネルギーとして働く「アデノシン 3 リン酸(ATP)」を作り出すのに、新聞では、アデノシン 1 リン酸(AMP)、そして、調べてみると、エナジーシグナル AMP(アデノシン 1 リン酸 2 ナトリウム OT) が、シグナル伝達物質として働くことがわかりました。

現在のところ、ひまわりの乏しい知識では、このくらいの程度でしか理解しきれていませんが、機会があれば、もっと詳しく調べてみたいと思います。

ここで、このエナジーシグナル AMP が、ターンオーバーを早めて、メラニンの蓄積を抑え、シミやソバカスを防ぐというメカニズムですが、まず、基本的な皮膚の構造から見ていきましょう。

20061018表皮の構造と生理

皮膚は、表皮、真皮、皮下組織という三つの組織からなりたっていますが、上記図は、その表皮を拡大したものです(図は国際植物療法協会の資料を参照)。表皮の構造も複雑で、基底層、有棘層、顆粒層、(透明層)、角質層から成り立っていますが、ターンオーバーは、基底層の基底細胞から生まれた細胞が、角質層の角質細胞がふけやあかになって脱落するまでのサイクルをいいます。

このサイクルは、体質や個人差、年齢、性別などによっても違いますが、28日周期(22 〜 23歳の女性)といわれています。新聞では、健康な女性、15人(平均年齢が 45歳)、ターンオーバーを 40日と紹介していました。ですから、いろいろな条件によって、その周期の遅れが、老化や、色素沈着、シワ、くすみなどができる原因となることがいわれています。

そこで、先ほどのエナジーシグナル AMP の出番です。このシグナル伝達によって、アデノシン 3 リン酸(ATP)の産生が促されるわけですから、当然、表皮のエネルギー代謝も促進し、ターンオーバーはその速度を速めてくれます。

そのため、基底細胞にあるメラノサイトから産生されたメラニンの還元帯での還元を促し、最終的には、デトックス作用ということで、メラニン排出を促す働きを発揮するようです。ですから、現在主流の「美白、紫外線防止、メラニンの産生を阻害する」などのコンセプトとは少し違っているようです。

そして、そのことが実験データで裏付けられ、エナジーシグナル AMP は、「メラニンの蓄積を抑え、シミ、ソバカスを防ぐ」という効能効果が認められたということです。

ここで、植物療法的な考え方ですが、まず、

○ 通常ターンオーバーを促進させるために使うテクニックは、ゴマージュやピーリング
・そのときに一番大切なことは、体質によって、刺激に対する皮膚の抵抗性が違うということ
・そのときに、目的のハーブ(ラベンダーやローズマリーベース)や、ピーリング剤(ヨーグルト、果実など)を使う
・細胞の賦活作用のある活性物質を電気的に導入する
・手当て全体の中で、皮膚に直接施術するテクニックだけではなく、ハーブティーや栄養素などの組み合わせをトータルに勘案する

○ 色素沈着に関しては、表在性の色素沈着だけではなく、真皮性の色素沈着が圧倒的に多い
・表皮性、真皮性の色素沈着に対しても、その原因に対応した目的のハーブを手当てで利用する

などなど、いろいろな対応が求められます。今日は、植物療法の、しかも、皮膚の構造と生理についてのセミナーでしたので、今日の「AMP」の話題もまじえてお話しました。

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