昨夜帰ってから、雨が降りました。その雨がまた一歩秋の季節へと導いてくれているようです。今日の朝も暑さが一段落したような感じ。昨日の新聞には、暑い八月を裏付けるデータが載っていました。
「最低気温 25度以上、連続 6日越す」、「最高気温も 10日連続 30度以上」。特に最低気温が 25度以上の日が連続 6日を超えたのは、 1886年に観測を始めて以来の最長記録とのこと。やはり暑い夏でしたと、もう過去の記録に留めておきたいほどですけど。
今日は、料理の写真を用意して、パソコンへコピー中にエラーが発生し、メモリカードの中のデータがどこかへいってしまいました。ついていません。とってもおいしい料理、「ヒラメの唐揚げと広島の広島ち”ゃけんのお好みソース」、「アボガドとトマトの野菜サラダ」、「ナスと鳥肉のカレー」などなど、貴重な写真(食べてしまってないから)でした。
本体の画像をそのままメモリカードへ移動させるのがくせになっているため、本体にはデータが残っていません。今度からは、移動ではなく、コピーをして、バックアプがとれたら削除するようにしないといけません。たぶん、パソコン上で接続の動作とディスクトップ上でのコピーの操作を同時にしたのが原因と思われます。
さて、先日から日本アロマコーディネーター協会が発行する「Column No.39」が届いていましたが、その中の「香りの科学」を見逃していました。第九回目になるこの記事は、新潟薬科大学、応用生命科学部、小林 義典 助教授の連載物です。
その中で(p12〜p13)、とても興味を引いたのは、
・精油の成分の違いを表す方法に表現型(フェノタイプ)という分類がある
・カモマイル ジャーマン Matricaria recutita の成分中、一般の研究報告とご自身の研究とに違いがある
・精油供給メーカーは、研究報告に基づき、抗炎症性の高い成分の含有を高める試みがなされている
という点でした。
ケモタイプアロマテラピーを実践するものにとっては、精油の「ケモタイプ」という概念はとても重要なものです。このケモタイプという概念は、以前にも投稿していますが(「2005.09.02 精油のケモタイプとハーブ」)、植物分類学上同じ属・種に属する植物でも、成育環境の違いによって、精油に含まれる組成成分(芳香分子)が異なる場合に、化学的に同定された「化学種」として、精油を分類する概念です。
これに対して、「表現型(フェノタイプ)」というのは、植物分類学上同じ属・種に属する植物でも、花の大きさや葉の形、背丈など、形態的に異なる形質を示す場合があり、それを発現している遺伝子に着目して分類する概念なんだそうです。
ここで、ひまわりが思ったのが、両者の関係です。どの概念が優れているとかいう問題ではなく、フェノタイプに着目した場合、遺伝子の概念を用いるわけですから、植物に含まれる精油の組成と遺伝子との間に相関関係があるように思われます。精油の組成は、産地、気候風土など、植物が実際に育つ環境に左右されます。それゆえに、中に含まれる精油の組成成分の化学的な同定が必要になり、それが「化学種」としてのケモタイプの概念なんですから。
そう考えると、両方の概念を考えた「精油の組成成分」というのを考えることは非常に重要な意味を持ってくるかと思います。
遺伝子に着目した概念は、精油の組成成分を固定的な考え方でとらえる概念の「ケモタイプ」とは違って、ダイナミックな考え方のようです。通常、精油中に含まれる組成成分の「平均的含有量」が設定され、組成成分が、その範囲の中に含まれていることが化学的に同定されてはじめて、今までの臨床データを勘案した精油の処方が可能となります。
ところが、フェノタイプでは、ある特定の組成成分が「・・作用」を示すということであれば、その作用を利用するための特定の組成成分の含有量を「遺伝子」的にどのようにすれば高められるのか、という考え方でとらえられているようです(一種の応用のようです)。
具体的には、
● 研究報告によると、カモマイル ジャーマン Matricaria recutita に含まれる精油の成分に関して
・カマズレンが強い抗炎症作用を示す
・ビサボロールはビサボロール オキサイド A に比べ抗炎症作用が強い
● この研究報告を踏まえて
・カモマイル ジャーマン Matricaria recutita の精油中のカマズレンとビサボロールの含有量を高める研究が行われている
ということのようです。
ただ、面白いのが、小林助教授の「カモマイル ジャーマン Matricaria recutita の鎮痛・鎮痒作用、抗炎症作用」に関する研究によると、一般的な研究報告とは裏腹に、
・ビサボロール オキサイド A は、痛みや痒みを抑制
・ビサボロールには、痛みや痒みを抑制する活性は示さない
ということを発表されています。
ケモタイプ精油事典 Ver.5 では、
● 酸化物類(去痰・抗カタル・抗ウィルス・免疫調整・抗菌・駆虫の各主な作用)
・ビサボロール オキサイド A(抗炎症・鎮痙れんの各固有作用)
● セスキテルペン炭化水素類 -(鎮静・抗炎症の各主な作用)
・カマズレン(抗アレルギー・抗ヒスタミン・抗炎症・鎮掻痒・皮膚組織再生の各固有作用)
● セスキテルペンアルコール類(ホルモン様・うっ血除去・強壮刺激の各主な作用)
・α-ビサボロール(抗炎症・鎮痙れん・抗潰瘍の各固有作用)
となっています。精油の組成成分、フェノタイプとケモタイプ、カモマイル ジャーマン Matricaria recutita に含まれる組成成分の固有作用などなど、とても興味を引く内容でした。
● 関連記事
○「精油の化学関連の目次」
・「酸化物類」
・「セスキテルペン炭化水素類 -」
・「セスキテルペンアルコール類」
・「2006.12.08 プロメリア(フランジュパニ)の精油」
・「2006.12.01 ケモタイプとフェノタイプの使い分け」
・「2006.08.25 カモミールの主要成分の違い」
・「2006.07.16 エマルジョン精油」
・「2006.05.28 精油の成分解析」
・「2006.04.27 香気成分の抽出方法」
・「2005.09.20 精油の抽出方法と使う人の目的」
・「2005.09.02 精油のケモタイプとハーブ」
「最低気温 25度以上、連続 6日越す」、「最高気温も 10日連続 30度以上」。特に最低気温が 25度以上の日が連続 6日を超えたのは、 1886年に観測を始めて以来の最長記録とのこと。やはり暑い夏でしたと、もう過去の記録に留めておきたいほどですけど。
今日は、料理の写真を用意して、パソコンへコピー中にエラーが発生し、メモリカードの中のデータがどこかへいってしまいました。ついていません。とってもおいしい料理、「ヒラメの唐揚げと広島の広島ち”ゃけんのお好みソース」、「アボガドとトマトの野菜サラダ」、「ナスと鳥肉のカレー」などなど、貴重な写真(食べてしまってないから)でした。
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本体の画像をそのままメモリカードへ移動させるのがくせになっているため、本体にはデータが残っていません。今度からは、移動ではなく、コピーをして、バックアプがとれたら削除するようにしないといけません。たぶん、パソコン上で接続の動作とディスクトップ上でのコピーの操作を同時にしたのが原因と思われます。
さて、先日から日本アロマコーディネーター協会が発行する「Column No.39」が届いていましたが、その中の「香りの科学」を見逃していました。第九回目になるこの記事は、新潟薬科大学、応用生命科学部、小林 義典 助教授の連載物です。
その中で(p12〜p13)、とても興味を引いたのは、
・精油の成分の違いを表す方法に表現型(フェノタイプ)という分類がある
・カモマイル ジャーマン Matricaria recutita の成分中、一般の研究報告とご自身の研究とに違いがある
・精油供給メーカーは、研究報告に基づき、抗炎症性の高い成分の含有を高める試みがなされている
という点でした。
ケモタイプアロマテラピーを実践するものにとっては、精油の「ケモタイプ」という概念はとても重要なものです。このケモタイプという概念は、以前にも投稿していますが(「2005.09.02 精油のケモタイプとハーブ」)、植物分類学上同じ属・種に属する植物でも、成育環境の違いによって、精油に含まれる組成成分(芳香分子)が異なる場合に、化学的に同定された「化学種」として、精油を分類する概念です。
これに対して、「表現型(フェノタイプ)」というのは、植物分類学上同じ属・種に属する植物でも、花の大きさや葉の形、背丈など、形態的に異なる形質を示す場合があり、それを発現している遺伝子に着目して分類する概念なんだそうです。
ここで、ひまわりが思ったのが、両者の関係です。どの概念が優れているとかいう問題ではなく、フェノタイプに着目した場合、遺伝子の概念を用いるわけですから、植物に含まれる精油の組成と遺伝子との間に相関関係があるように思われます。精油の組成は、産地、気候風土など、植物が実際に育つ環境に左右されます。それゆえに、中に含まれる精油の組成成分の化学的な同定が必要になり、それが「化学種」としてのケモタイプの概念なんですから。
そう考えると、両方の概念を考えた「精油の組成成分」というのを考えることは非常に重要な意味を持ってくるかと思います。
遺伝子に着目した概念は、精油の組成成分を固定的な考え方でとらえる概念の「ケモタイプ」とは違って、ダイナミックな考え方のようです。通常、精油中に含まれる組成成分の「平均的含有量」が設定され、組成成分が、その範囲の中に含まれていることが化学的に同定されてはじめて、今までの臨床データを勘案した精油の処方が可能となります。
ところが、フェノタイプでは、ある特定の組成成分が「・・作用」を示すということであれば、その作用を利用するための特定の組成成分の含有量を「遺伝子」的にどのようにすれば高められるのか、という考え方でとらえられているようです(一種の応用のようです)。
具体的には、
● 研究報告によると、カモマイル ジャーマン Matricaria recutita に含まれる精油の成分に関して
・カマズレンが強い抗炎症作用を示す
・ビサボロールはビサボロール オキサイド A に比べ抗炎症作用が強い
● この研究報告を踏まえて
・カモマイル ジャーマン Matricaria recutita の精油中のカマズレンとビサボロールの含有量を高める研究が行われている
ということのようです。
ただ、面白いのが、小林助教授の「カモマイル ジャーマン Matricaria recutita の鎮痛・鎮痒作用、抗炎症作用」に関する研究によると、一般的な研究報告とは裏腹に、
・ビサボロール オキサイド A は、痛みや痒みを抑制
・ビサボロールには、痛みや痒みを抑制する活性は示さない
ということを発表されています。
ケモタイプ精油事典 Ver.5 では、
● 酸化物類(去痰・抗カタル・抗ウィルス・免疫調整・抗菌・駆虫の各主な作用)
・ビサボロール オキサイド A(抗炎症・鎮痙れんの各固有作用)
● セスキテルペン炭化水素類 -(鎮静・抗炎症の各主な作用)
・カマズレン(抗アレルギー・抗ヒスタミン・抗炎症・鎮掻痒・皮膚組織再生の各固有作用)
● セスキテルペンアルコール類(ホルモン様・うっ血除去・強壮刺激の各主な作用)
・α-ビサボロール(抗炎症・鎮痙れん・抗潰瘍の各固有作用)
となっています。精油の組成成分、フェノタイプとケモタイプ、カモマイル ジャーマン Matricaria recutita に含まれる組成成分の固有作用などなど、とても興味を引く内容でした。
● 関連記事
○「精油の化学関連の目次」
・「酸化物類」
・「セスキテルペン炭化水素類 -」
・「セスキテルペンアルコール類」
・「2006.12.08 プロメリア(フランジュパニ)の精油」
・「2006.12.01 ケモタイプとフェノタイプの使い分け」
・「2006.08.25 カモミールの主要成分の違い」
・「2006.07.16 エマルジョン精油」
・「2006.05.28 精油の成分解析」
・「2006.04.27 香気成分の抽出方法」
・「2005.09.20 精油の抽出方法と使う人の目的」
・「2005.09.02 精油のケモタイプとハーブ」
今日のブログに、データを載せておきました。比べてみるとオモシロイですよ。
今回の記事で、精油の生化学的な研究発表が、いかに敏感に生産者にアクションを
引き起こしているのか、うかがうことができます。
一方では、やはり、精油の成分を複合体として考えることが必要なことであるか
ということも合わせてうかがうことができます。
精油のパワーはそれだけではありませんからね。
今度は、アズレンとカマズレンなとの問題について投稿しようかと思ってます。