朝からとどんより曇っていた天気でしたが、午後になるとお日様も顔をだしてきました。今まで、肌寒い秋田でしたが、ちょっと蒸し暑くなりました。これだけ梅雨空が続くと、気持ちの方もブルーになってしまいます。暑くて大変ですが、早くカラッとした真夏の天気が戻ってきて欲しいですね。

20060719不思議な花の植物 20060728スイカ 20060729ウメ氷砂糖漬け

上の左の写真、先日神戸で見かけた植物ですが、不思議な花をつけています。どなたかこの花の名前をご存じの方は、教えていただけないでしょうか。確か、マートルなどのギンバイ科の植物がこんな花の形状をしていたと思いますが。

昨夜、今年始めての「スイカ」食べました。とても甘いんです。このスイカは地元秋田県の羽後町産です。ばっぱに、だったらハウスで作ったの?とたずねると、何いってるの、もう露地ものが市場にでまわっているよ、と笑われてしまいました。長い梅雨のせいで頭が働かなかったんですね。上の写真右、余った梅を、氷砂糖漬けにして梅ジュースを作っていました。

20060727シカ肉炒め 20060728中華丼 20060729ハムとタマゴ焼き

上の写真は、先日届いたシカの肉を野菜炒めで炒めた物。上中央の写真は昨日の中華丼。右は今日のお昼のハムと卵焼き。

20060728スモモ 20060728スモモジャム1 20060728スモモジャム2

上の写真左は、スモモ。もちろん自家製です。こんなに赤く色づきました。これをスモモジャムにしたもの。あまり砂糖は入れていないということで、作りたてをペロリと味わってみました。ほんの少々ほろ苦く、酸味と甘さがほどよくミックスした深みのある味でした。パンに塗って食べることにしましょう。

さて、先日来から「ドーパミンに関係する話題」を取り上げてきました。特に
2006.07.27 サブスタンスPとDAで投稿した記事では、ペッパー Piper nigrum が、高齢者の方々に起こりがちな「誤嚥(ごえん)」の予防に期待できるということで、ひもといてみると、 上気道での嚥下反射を制御する物質の一つに「サブスタンスP」があり、これは、脳内にあるドーパミン作動性神経(ドーパミンを放出する神経細胞)と密接に関係していることがわかりました。

また、
2006.07.20 植物の二面性と状況に応じて作用する薬に興味を持ったことで 、2006.07.24 脳幹に配置された神経核や、2006.07.21 脳内神経伝達物質 DAでも、脳内の神経伝達物質「ドーパミン」を調べていたところでした。

今回の問題に関しては、脳内神経伝達物質であるドーパミンの働きと、「運動系の活動状態」や「あらゆる種類の感覚情報」をもとに、大脳皮質の機能調節にとても重要な影響を与える大脳基底核との相互関連性を明らかにしなければ、問題の本質が見えてこないと思い、調べてみました。調べれば調べるほど、頭が混乱してきましたが、何とか、まとめることができました。

ポイントは、

・ドーパミン作動性神経(ドーパミンを放出する神経細胞)のうち、A9神経核(黒質緻密部)から放出されるドーパミンの働き
・大脳基底核が、大脳皮質や視床から「運動系の活動状態」や「あらゆる種類の感覚情報」を受け入れて、それらの情報を、どのように処理して、大脳皮質の機能を調整する役割を果たしているのか
・ドーパミンと、大脳基底核の働きとの相互関連性
・難しい言葉では、大脳基底核への情報の入力と、大脳基底核内部での情報処理、大脳基底核からの出力、そして、その情報処理にドーパミンが「修飾」することで(そこに関係することで)、出力への調整を行っている

ということになるようです。

下の図をご覧下さい。大脳皮質や視床からの情報の入力が、大脳基底核内部でどのような連絡を取り合って、最終的に視床や、大脳皮質へ出力されているのかを、大脳基底核の神経細胞同士の連絡(これは投射といわれているようです)と、そこで使われている神経伝達物質との関係をあらわした図です(機能的神経科学、オズワルド・スチュワード著、伊藤博信/内山博之/山本直之訳、シュプリンガー・フェアラーク東京(株)発行、p285〜p291参照)。

20060729大脳基底核

上の図は、大脳基底核の神経細胞同士の連絡(投射)と神経伝達物質の種類をあらわしています。まとめると、

● 皮質 - 線条体の連絡(入力)
01. すべての大脳皮質領域より起こる
02. 神経伝達物質は、
興奮性を示す「グルタミン酸」を使う

● 視床 - 線条体の連絡(入力)
03. 神経伝達物質は、興奮性を示す「グルタミン酸」を使う

● 直接的な線条体 - 淡蒼球回路(大脳基底核内部で起こる直接的な回路)
04. 線条体の有棘性星状細胞は、黒質網様部・淡蒼球内節に直接連絡
05. このときの神経伝達物質は、
抑制性を示す「ギャバ」と、サブスタンスPあるいはダイノルフィンを使う

● 間接的な線条体 - 淡蒼球回路(大脳基底核内部で起こる間接的な回路)
06. 線条体から、黒質網様部・淡蒼球内節に間接的に連絡
07. 線条体から、淡蒼球外節への連絡、さらに視床下核を間接的に経由して黒質網様部・淡蒼球内節に連絡
08. 線条体から、淡蒼球外節への神経伝達物質は、
抑制性を示す「ギャバ」と、エンケファリンを使う
09. 淡蒼球外節から視床下核への神経伝達物質は、
抑制性を示す「ギャバ」を使う
10. 視床下核から黒質網様部・淡蒼球内節への神経伝達物質は、
興奮性を示す「グルタミン酸」を使う

● 黒質網様部・淡蒼球内節 - 視床 - 皮質の連絡(出力)
11. 黒質網様部・淡蒼球内節から視床への連絡
12. 神経伝達物質は、
抑制性を示す「ギャバ」を使う
13. 視床から皮質への連絡
14. 神経伝達物質は、
興奮性を示す「グルタミン酸」を使う。

上の図では、情報の入力を受け止める「線条体」の受容体を詳しく書いておりません。ドーパミンとの関係でこの受容体がとても重要な意味を持っていますので、連絡の経路を単純化するために除きました。下記の図によって、その部分を詳しく見わたせるかと思います(機能的神経科学、オズワルド・スチュワード著、伊藤博信/内山博之/山本直之訳、シュプリンガー・フェアラーク東京(株)発行、p288 参照)。

2006072908有棘星状細胞

上の図は、大脳基底核の線条体にある「有棘性星状細胞」をあらわしています。一番最初の図では「線条体」として一つにまとめていましたが、ここでは、線条体にある各々の神経細胞がどのように連絡しあっているかがわかるかと思います。

● 種類
01. D1受容体を持つ神経細胞
・ドーパミンにより
促進性を示す
・連絡先(投射先)の神経細胞は、
黒質網様部・淡蒼球内節に直接連絡
・このときに使われる神経伝達物質は、抑制性を示す「
ギャバ」と、サブスタンスPあるいはダイノルフィン

02. D2受容体を持つ神経細胞
・ドーパミンにより
抑制性を示す
・連絡先(投射先)の神経細胞は、
黒質網様部・淡蒼球内節に間接的に連絡
・線条体から、淡蒼球外節への神経伝達物質は、抑制性を示す「
ギャバ」と、エンケファリンを使う

今までご覧いただいた事を、単純化して、下記の図に示してみました。一番わかりにくいのが、神経細胞とその神経細胞が放出する神経伝達物質と、その連絡(投射)先の神経細胞の関係かと思います。したがって、神経細胞の活性や抑制、その神経細胞が放出する神経伝達物質がそれにともなってどうなるのかを「+とー」で表現しました。

なお、下記の図には、ドーパミンの影響を考慮しない場合の各神経細胞の連絡をあらわしています。また、大脳基底核内部における「直接的な線条体 - 淡蒼球回路」と「間接的な線条体 - 淡蒼球回路」を区別しています。これによって、同じ情報の入力が、最終的な出力において、「視床」に与えている影響が、一方では(直接的)活性(脱抑制というのだそうです)、他方では(間接的)抑制という正反対の結果をもたらすことになります(図の中の丸印の番号と、説明分の番号は一致しています)。

2006072903直接図
01. 線条体活性
02. 線条体活性により、
抑制性が亢進
03. 視床に対して抑制性の
淡蒼球内節の働きが抑制<br> 04. 結果的に視床に対して抑制性を示していた淡蒼球内節の働きが抑えられ、視床は活性化(脱抑制)

2006072904間接図
01. 線条体活性
02. 線条体活性により、
抑制性が亢進
03. 視床下核に対して抑制性の
淡蒼球外皮の働きが抑制
04. 淡蒼球内接に対して
興奮性の視床下核の働きが亢進
05. 視床に対して抑制性の
淡蒼球内節の働きが亢進
06. 結果的に視床に対して抑制性を示していた淡蒼球内節の働きが亢進し、
視床は抑制

今までご覧いただいたのは、黒質緻密部から放出されるドーパミンの影響を考慮しないで、大脳皮質や、視床からの情報を線条体が受け入れた場合に、直接的な線条体 -淡蒼球回路と間接的な線条体 -淡蒼球回路では、どのように情報の伝達がなされ、最終的に、視床にどのような影響を与えたかでした。直接回路と間接回路の間には、視床に対して拮抗的な影響をもたらしています。

下記の図には、黒質緻密部からドーパミンが放出されたことによって、直接回路と間接回路の間にどのような影響を与えているのかをあらわした図です(機能的神経科学、オズワルド・スチュワード著、伊藤博信/内山博之/山本直之訳、シュプリンガー・フェアラーク東京(株)発行、p285〜p291参照)。

おもしろいのは、ドーパミンを受けとる線条体にある神経細胞は、受容体の種類によって、その働きを「促進性」として、あるいは「抑制性」として、ふるまうということです。これは、受容体の種類がいずれも「代謝型」といって、興奮か鎮静(スイッチをオン、オフ)かなどの単純なふるまい方ではなく、受容体の種類によって、受け取った情報をいろいろな情報へ変えてしまう性質を持っているからなんだそうです。

そのため、単純には、判断することはできませんが、D1という種類の受容体を持つ線条体の神経細胞は「促進性」を、D2という種類の受容体を持つ線条体の神経細胞は「抑制性」を持つことになります。このことが、最終的に、視床へどのような影響を与えているのか、とてもおもしろいです。

● 直接的な線条体 - 淡蒼球回路

2006072905ドーパ直接絵

01. ドーパミンが黒質緻密部から放出される
02. 線条体のD1受容体でドーパミンが受け取られる
03. このとき
D1受容体を介するドーパミンは促進性として働く
04. D1受容体を持つ線条体の神経細胞は神経伝達物質として、抑制性を示す「ギャバ」と「
サブスタンスPかダイノルフィン」を、淡蒼球内節の神経細胞へ放出
05. そのため、
淡蒼球内節の神経細胞に対して、抑制が促進される(やや太い青線)
06. したがって、淡蒼球内節の神経細胞が放出する抑制性の神経伝達物質も抑制性される(やや細い青線)
07. 結果として、視床を抑制していた淡蒼球内節の神経細胞の活動が抑制されることとなり、
視床に対する抑制が取り除かれることになる(脱抑制というのだそうです)
08. 視床の脱抑制による
大脳皮質の活性化(やや太い赤線)

● 間接的な線条体 - 淡蒼球回路

200607290606ドーパ間接絵

01. ドーパミンが黒質緻密部から放出される
02. 線条体のD2受容体でドーパミンが受け取られる
03. このとき
D2受容体を介するドーパミンは抑制性として働く
04. D2受容体を持つ線条体の神経細胞は神経伝達物質として、抑制性を示す「ギャバ」と「
エンケファリン」を淡蒼球外節の神経細胞へ放出。そのため、淡蒼球外節の神経細胞に対しての抑制性が抑制される(やや細い青線)
05. それを受けて、淡蒼球外節から視床下核への
抑制性の神経伝達物質は亢進する(やや太い青線)
06. その結果、視床下核から黒質網様部・淡蒼球内節への
興奮性を示す神経伝達物質は抑制される(やや細い赤線)
07. したがって、淡蒼球内節の神経細胞が放出する
抑制性の神経伝達物質も抑制性される(やや細い青線)
08. 結果として、視床を抑制していた淡蒼球内節の神経細胞の活動が抑制されることとなり、視床に対する抑制が取り除かれることになる(
脱抑制というのだそうです)
09. 視床の脱抑制による
大脳皮質の活性化(やや太い赤線)

どうですか、ドーパミンを受け取る受容体の違いによって、そして、その受容体で受け取った線条体の神経細胞が、次の神経細胞へ連絡(投射)する回路が「直接回路」か「間接回路」によって、おもしろい結果を「視床」に与えています。

以下続きです

下記の図は、先ほどと同じように、単純化して、下記の図に示してみました。神経細胞の活性や抑制、その神経細胞が放出する神経伝達物質がそれにともなってどうなるのかを「+とー」で表現しました。

2006072907ドーパ直接図
01. 線条体活性
02. 線条体活性により、
抑制性が亢進
03. 視床に対して抑制性の
淡蒼球内節の働きが抑制
04. 結果的に視床に対して抑制性を示していた淡蒼球内皮の働きが抑えられ、
視床は活性化(脱抑制)

2006072908ドーパ間接図
01. 線条体抑制
02. 線条体抑制により、
抑制性が抑制
03. 視床下核に対して抑制性の
淡蒼球外節の働きが亢進
04. 淡蒼球内接に対して興奮性の
視床下核の働きが抑制
05. 視床に対して抑制性の
淡蒼球内節の働きが抑制
06. 結果的に視床に対して抑制性を示していた淡蒼球内皮の働きが抑えられ、
視床は活性化(脱抑制)

いかがでしたか。ドーパミンが線条体の神経細胞に働きかけ、結果として、大脳基底核の「直接回路」と「間接回路」との間に働いていた「拮抗作用」(ドーパミンが関係しない先ほど見ていただいたケース)が、今度は、いずれの回路でも「視床」の脱抑制(活性)させているのがおわかりいただけたかと思います。

●「直接的な線条体 - 淡蒼球回路」は、
・興奮性のグルタミン酸という神経伝達物質を、D1受容体を持つ線条体の神経細胞が受け取り、最終的には「視床」に脱抑制、すなわち、活性化に作用。
・黒質緻密部から放出されるドーパミンという神経伝達物質を、D1受容体を持つ線条体の神経細胞が受け取り、活性化し、最終的には「視床」に脱抑制、すなわち、
活性化に作用。

●「間接的な線条体 - 淡蒼球回路」は、
・興奮性のグルタミン酸という神経伝達物質を、D2受容体を持つ線条体の神経細胞が受け取り、最終的には「視床」を抑制する方向に作用。
・黒質緻密部から放出されるドーパミンという神経伝達物質を、D2受容体を持つ線条体の神経細胞が受け取り、抑制され、最終的には「視床」に脱抑制、すなわち、
活性化に作用。

ということになるため、

・「間接的な線条体 - 淡蒼球回路」に、ドーパミンが作用するかどうかで、「視床」への活性化か抑制という影響がでることになるようです。
・ドーパミンが作用することにより、D2受容体を持つ線条体の神経細胞は抑制されるということと、
・抑制されることで「間接的な線条体 - 淡蒼球回路」にある、興奮性の神経伝達物質を放出する「視床下核」が「抑制」され「視床」を脱抑制、すなわち活性化に働く、ということになるかと思います。

この作用によって、大脳皮質の機能が調整されていると思います。そして、これらのバランスの乱れと、病気や薬との関係、そして、ハーブや精油との関係も見えてくるような気がします。

● 関連情報
脳・神経関連の目次
薬と身体関連の目次
2006.08.03 パーシャルアゴニスト
2006.07.27 サブスタンスPとDA
2006.07.24 脳幹に配置された神経核
2006.07.21 脳内神経伝達物質 DA
2006.07.20 植物の二面性と状況に応じて作用する薬
2006.06.11 なまり言語切り替えと脳の働き