昨夜九時頃、秋田市内で「織姫星」と「ひこ星」をご覧になられた方、結構いたそうですよ。今日の秋田は、昼近くからとてもよく晴れわたり、久しぶりに「暑い」という感覚を覚えました。ただ、先ほど外へ出てみたのですが、雲がかかってお月様もボンヤリと見えるだけ。

20060708ラベンダーオカムラサキ 20060708西洋カノコ草 20060708セージ コスミックブルー

午前中は、資料を印刷しながら、ずいぶん長い間、店を占領したラベンダーの花を束ねる作業や、掃除におわれていました。上の写真左は、束にしたラベンダーおかむらさき。中央は、西洋カノコ草。右は、コスミックブルーという種類のセージ。

二、三日前の新聞で、「メラニン生成抑える」の見だしで、植物から発見した成分を合成し、医薬部外品の美白有効成分として「厚生労働省」の承認を得た美白美容液のお話が載っていました。この季節になると、女性の方は「美白」に特に弱いようですね。発売してから一ヶ月で三十万個を販売したそうです。

植物の成分と聞いて、ひまわりは、違った意味で興味を持ってしまいます。「ハクモクレン」という植物で、その樹皮に含まれている成分「マグノリグナン」。ハクモクレンの花は、花を咲かせていく段階で、日が当たると開き、日の沈む夕方に閉じるんだそうです。その繰り返しによって徐々に花を開いて、開ききってから散るのだそうです。「ひまわり」と同じように太陽が大好きなのでしょうか。

この光に花が反応することと、「メラニン生成抑える」成分と、何やら相関関係がありそうな気もしますが、生成を抑える成分は「花」ではなく、「樹皮」。

もともと「メラニン生成抑える」という化粧品は、従来にもあったことで、それほど気にもしませんでしたが、その仕組みが若干異なるということです。メラニン色素の生成には、チロシナーゼという酵素の働きが必要です。従来の化粧品では、この酵素チロシナーゼの働きを弱める「抗チロシナーゼ」作用を示すことで、メラニンの生成を抑制しているようです。

ところが、今回新聞で紹介されていた美白美容液では、酵素チロシナーゼそのものが、メラノサイト(色素形成細胞)で産生される段階の、未熟な段階で抑制されることで、「色素の生成」を断つというもののようです。確かに、メラニン色素産生に関与している酵素を作らないようにすれば、もとから断つことになるため、メラニン色素を作り出すことはできないことになります。

ひまわりは、この点について、メラニンが何故必要で、防御能として働いているメラニンの産生を抑えることは、皮膚の老化をむしろ促進させてしまいかねないことを、常々お話しています。必要なのは、防御能以上に働くメラニンの産生を、その原因を把握して、抑制、還元することだと思っています。

色素沈着の原因の一つに紫外線が上げられますが、色素沈着は、紫外線から生体を防御する役目もしています。光をプリズムのような分光器を通すと、七色のきれいな色に分かれます。その七色は「紫色」から「赤い色」まであって、一番波長が短いのが「紫色」。一番長いのが「赤い色」です。

紫より波長の短い光と、赤より波長の長い光は、目で見ることができず、紫の外の光ということで「紫外線」、赤の外の光ということで「赤外線」と呼ばれています。私たちが、先ほどの色素沈着で、問題にしているのが「紫外線」なのに、「赤外線」はあまり問題にされていません。いや、赤外線はむしろ健康のためによく使われていますよね。

何でも、光のエネルギーの強さは、波長と関係があるのだそうです。光のエネルギーは、波長に反比例、すなわち、波長が短いほど大きいのだそうです。それ故、紫外線が悪者扱いされるんです。

紫外線の波長にも、三つの分類があって、A波長(長波長)、B波長(中波長)、C波長(短波長)とあるようですが、C波長が紫外線の中でも一番短く、「290ナノメートル以下」の紫外線です。この光は、オゾン層で吸収され、地上にはほとんど届かない事になってはいますが、オゾンホールなるものもありますから、まったく届かないわけではありません。

B波長は、表皮に作用し、そこに炎症を起こして、発赤や水疱などいろいろな肌のトラブルを引き起こします。これは、サンバーンといわれています。A波長は、波長が長いため、光のエネルギーは小さいですが、真皮にまで到達する光線です。そのために、メラノサイトを刺激してメラニンの産生を促してしまうわけです。これは、サンバタンといれれますが、逆から考えると、有害光線が真皮に達するのを、A波長が入ってきたことで防御能として、メラニンが守ろうとしている、とも言えます。

結果として、紫外線のA波長は、真皮にあるコラーゲンの変性を促し、しわや老化という肌のトラブルをも、加齢とは違った形で影響を与えてしまいます。さあ、メラニン色素の生成を抑える方を選びますか、それともしわくちゃのお顔の方を選びますか。どちらもなりたくないですよね。

メラニン色素の生成抑制というのは、そのぎりぎりの崖っぷちの所で止めるのがよろしようで。そのためには、しっかりとした顆粒細胞が形成され、紫外線をメラニンではなく、顆粒細胞のプリズム構造で乱反射させる防御能をしっかりさせる事が、どちらの肌のトラブルにも対応できそうです。

2005.11.05 植物油と酸化・紫外線・SPFの関係(ここでは、中波長は 280 〜 320nmと、参考資料にあわせています」
2005.08.18 化粧品の開発販売と女性の心
2005.08.17 肌や身体と季節の関係