● ひまわりが勝手に選んだ植物療法関係の記事一覧の目次です
今日はとんでもなく春を思わせる天気でした。午前中から夕方まで、セミナーでしたが、ストーブにより暖められた室内の温度と外気が同じくらいに感じられる気温。田んぼの雪もご覧の通り、一部雪が溶けて土が見え始めました(下写真)。
でも夕日の頃になると、やっぱり肌寒くなります。山の帰りに夕日が沈みかけている様子、全部田んぼに積もっている雪ですが、表面が溶けて、でもそれが寒さで固くなってキラキラ輝いていました(下写真の左側と中央)。
今日のばっぱのお料理は、残った肉を肉団子のようにして作り直して「酢豚」に(下写真右)。ひまわりは、本当にお腹がでてきて困ってしまうんですが。
さて、先日、「2006.02.17 グレープフルーツ禁、納豆禁」のお話を書きましたが、その中で、どのようなメカニズムが働いてそうなるのか、詳しくはできませんでした。納豆が「血液が固まらない」ようなメカニズで働いていることと、そのために、何かあったときに「血液が固まる」仕組みを事前にちゃんと用意しているという、とてもまか不思議なバランスを保ちながら、血液をさらさらにしていることがわかりました。
下記の図は、血液が固まる仕組みである「血液凝固系」と、血液が固まらないようにする「繊維素溶解系」、それに、納豆がどのようにこれら二つの凝固系と溶解系とに作用しているのかを表した図です。
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今日はとんでもなく春を思わせる天気でした。午前中から夕方まで、セミナーでしたが、ストーブにより暖められた室内の温度と外気が同じくらいに感じられる気温。田んぼの雪もご覧の通り、一部雪が溶けて土が見え始めました(下写真)。
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でも夕日の頃になると、やっぱり肌寒くなります。山の帰りに夕日が沈みかけている様子、全部田んぼに積もっている雪ですが、表面が溶けて、でもそれが寒さで固くなってキラキラ輝いていました(下写真の左側と中央)。
今日のばっぱのお料理は、残った肉を肉団子のようにして作り直して「酢豚」に(下写真右)。ひまわりは、本当にお腹がでてきて困ってしまうんですが。
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さて、先日、「2006.02.17 グレープフルーツ禁、納豆禁」のお話を書きましたが、その中で、どのようなメカニズムが働いてそうなるのか、詳しくはできませんでした。納豆が「血液が固まらない」ようなメカニズで働いていることと、そのために、何かあったときに「血液が固まる」仕組みを事前にちゃんと用意しているという、とてもまか不思議なバランスを保ちながら、血液をさらさらにしていることがわかりました。
下記の図は、血液が固まる仕組みである「血液凝固系」と、血液が固まらないようにする「繊維素溶解系」、それに、納豆がどのようにこれら二つの凝固系と溶解系とに作用しているのかを表した図です。
以下続きです
血液凝固系と繊維素溶解系は、バランスをとりながらとても複雑なメカニズムで機能しています。生体は、血液が血管の中を流れているときは、固まらないように、ひとたび、けがなどで血管が傷ついたときは、血液が外に漏れないよう固まる仕組みを持っています。
・血液凝固系
血液は本来血管の中をさらさら流れるような仕組みになっていますから、血液が凝固しては困るため、とても数多くのステップをふんで、固まる仕組みを機能させています。何でも十数段階の血液凝固因子なるものが働いて、ようやく血液が凝固する仕組みをとっています。最後のステップを例に取ると、凝固因子(第1因子)である「フィブリノーゲン」が「トロンビン」の刺激を受けて活性化して、「フィブリン」となり血球が凝固する仕組みとなっています。
凝固因子の第1因子であるフィブリノーゲンが活性化するためには、「トロンビン」の刺激がないと活性化しません。そのトロンビンは、凝固因子の第2因子であるプロトロンビンがトロンボプラスチンの刺激を受けて活性化することで機能します。そのような仕組みが十数段階というステップを踏んで、最終的に血液が固まる仕組みを作っているのだそうです。
ところで、納豆には「ビタミンK」が含まれていますが、このビタミンは、4種類の凝固因子を合成するのに関係しているそうです。その四種類の一つに、上に見てきた血液凝固因子の第2因子である「プロトロンビン」の合成に関与しています。
ですから、ビタミンKが働かないと、その凝固因子が肝臓で合成されないことになり、この段階で血液は凝固しないことになります。この場合の「ビタミンK」は、凝固因子そのものではなく、その凝固因子を合成するのに関与しているビタミンという事です。
ワーファリンは、このビタミンKの働きを阻害して、結果的にビタミンKに依存している凝固因子の肝臓での合成を妨げる働きをしますから、血液凝固を妨げるように機能するわけです。
・繊維素溶解系
一方、不溶性フィブリンを溶かす溶解系も生体は備えています。その仕組みの中心になるのが「プラスミン」だそうです。凝固系と同じように、ウロキナーゼにより活性化したプラスミノーゲンがプラスミンを産生して、凝固した血液を溶かす仕組みを持っています。
ここでまた納豆の登場です。納豆には「ナットウキナーゼ」が含まれており、この酵素がウロキナーゼと同じような働きで、プラスミノーゲンを活性させる作用があるといわれています。ただし、納豆には、ナットウキナーゼの他に、プロウロキナーゼ活性酵素というのも含んでいるのだそうです。
この酵素は、ウロキナーゼの前駆(前になる)物質であるプロウロキナーゼを活性させる酵素で、これら二つが血液凝固を阻止し血液をサラサラにしているのではないかということのようです。
ですから、最初にお話したように、納豆は、基本的には、血液の凝固を阻止してサラサラ流れるように働きかけますが、何かあったときの備えに、ビタミンKを作りだして、血液凝固系に働きかける準備もしている優れものということになります。
ということは、毎日決まった量の納豆を、決まった時間に食べ続けることができれば、ワーファリンのお薬を飲まないですむ、ということが理論的にあり得ると思いますが、そうはいかないのが現実ですね。そして、皮肉にも、納豆とワーファリンの関係は、血液を凝固させないために飲むお薬「ワーファリン」の効果を達成できないように納豆が働くわけですから、禁忌になるということになります。何という不思議な関係なのでしょうか。
ちなみに、アロマテラピーで、血腫抑制・血液凝固阻止作用を有する「β-ジオン」(ケトン類)を含む精油で有名なのが、ヘリクリサム Helichrysum italicum です。 この精油は、可溶性のフィブリンが重合して、不溶性になるのを阻止するような働きで作用するといわれています。
その他、血小板の凝集や、凝集阻止には、種々のプロスタグランジンもまた関係してきます(「2005.12.31 体調とプロスタグランジンの関係」)。とてもむずかしいですね。
そうそう、蛇足ですが、ちょっと前全国版のラジオで秋田県の特産物の紹介がありました。なんでも納豆菌の至適温度が確か50度なんだそうです(確か?)。1度でも違うとダメなんだそうですよ。
関連記事
・「2007.08.31 トラネキサム酸の抗プラスミンと肝斑」
・「2007.08.26 トラネキサム酸の不思議な働き」
・「2006.11.02 メラニンとストレス」
・「2006.11.01 メラニンの役割と生成」
・「2006.02.25 普段は納豆菌、薬は納豆禁」
・「2006.02.17 グレープフルーツ禁、納豆禁」
・「2005.12.31 体調とプロスタグランジンの関係」
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血液凝固系と繊維素溶解系は、バランスをとりながらとても複雑なメカニズムで機能しています。生体は、血液が血管の中を流れているときは、固まらないように、ひとたび、けがなどで血管が傷ついたときは、血液が外に漏れないよう固まる仕組みを持っています。
・血液凝固系
血液は本来血管の中をさらさら流れるような仕組みになっていますから、血液が凝固しては困るため、とても数多くのステップをふんで、固まる仕組みを機能させています。何でも十数段階の血液凝固因子なるものが働いて、ようやく血液が凝固する仕組みをとっています。最後のステップを例に取ると、凝固因子(第1因子)である「フィブリノーゲン」が「トロンビン」の刺激を受けて活性化して、「フィブリン」となり血球が凝固する仕組みとなっています。
凝固因子の第1因子であるフィブリノーゲンが活性化するためには、「トロンビン」の刺激がないと活性化しません。そのトロンビンは、凝固因子の第2因子であるプロトロンビンがトロンボプラスチンの刺激を受けて活性化することで機能します。そのような仕組みが十数段階というステップを踏んで、最終的に血液が固まる仕組みを作っているのだそうです。
ところで、納豆には「ビタミンK」が含まれていますが、このビタミンは、4種類の凝固因子を合成するのに関係しているそうです。その四種類の一つに、上に見てきた血液凝固因子の第2因子である「プロトロンビン」の合成に関与しています。
ですから、ビタミンKが働かないと、その凝固因子が肝臓で合成されないことになり、この段階で血液は凝固しないことになります。この場合の「ビタミンK」は、凝固因子そのものではなく、その凝固因子を合成するのに関与しているビタミンという事です。
ワーファリンは、このビタミンKの働きを阻害して、結果的にビタミンKに依存している凝固因子の肝臓での合成を妨げる働きをしますから、血液凝固を妨げるように機能するわけです。
・繊維素溶解系
一方、不溶性フィブリンを溶かす溶解系も生体は備えています。その仕組みの中心になるのが「プラスミン」だそうです。凝固系と同じように、ウロキナーゼにより活性化したプラスミノーゲンがプラスミンを産生して、凝固した血液を溶かす仕組みを持っています。
ここでまた納豆の登場です。納豆には「ナットウキナーゼ」が含まれており、この酵素がウロキナーゼと同じような働きで、プラスミノーゲンを活性させる作用があるといわれています。ただし、納豆には、ナットウキナーゼの他に、プロウロキナーゼ活性酵素というのも含んでいるのだそうです。
この酵素は、ウロキナーゼの前駆(前になる)物質であるプロウロキナーゼを活性させる酵素で、これら二つが血液凝固を阻止し血液をサラサラにしているのではないかということのようです。
ですから、最初にお話したように、納豆は、基本的には、血液の凝固を阻止してサラサラ流れるように働きかけますが、何かあったときの備えに、ビタミンKを作りだして、血液凝固系に働きかける準備もしている優れものということになります。
ということは、毎日決まった量の納豆を、決まった時間に食べ続けることができれば、ワーファリンのお薬を飲まないですむ、ということが理論的にあり得ると思いますが、そうはいかないのが現実ですね。そして、皮肉にも、納豆とワーファリンの関係は、血液を凝固させないために飲むお薬「ワーファリン」の効果を達成できないように納豆が働くわけですから、禁忌になるということになります。何という不思議な関係なのでしょうか。
ちなみに、アロマテラピーで、血腫抑制・血液凝固阻止作用を有する「β-ジオン」(ケトン類)を含む精油で有名なのが、ヘリクリサム Helichrysum italicum です。 この精油は、可溶性のフィブリンが重合して、不溶性になるのを阻止するような働きで作用するといわれています。
その他、血小板の凝集や、凝集阻止には、種々のプロスタグランジンもまた関係してきます(「2005.12.31 体調とプロスタグランジンの関係」)。とてもむずかしいですね。
そうそう、蛇足ですが、ちょっと前全国版のラジオで秋田県の特産物の紹介がありました。なんでも納豆菌の至適温度が確か50度なんだそうです(確か?)。1度でも違うとダメなんだそうですよ。
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・「2007.08.31 トラネキサム酸の抗プラスミンと肝斑」
・「2007.08.26 トラネキサム酸の不思議な働き」
・「2006.11.02 メラニンとストレス」
・「2006.11.01 メラニンの役割と生成」
・「2006.02.25 普段は納豆菌、薬は納豆禁」
・「2006.02.17 グレープフルーツ禁、納豆禁」
・「2005.12.31 体調とプロスタグランジンの関係」
本当は納豆で、血栓予防ができるのがよいと思います。
ところが、嫌いな方にはそうはいきませんよね。
だからお薬なんでしょうね。ところが、納豆が好きな方も薬ですから、
その薬を飲むと、納豆が食べられないことになります。
あ〜本当に変な関係。
あれれ さん、納豆好きな人は、納豆を食べられますから、
納豆の嫌いな方が納豆をおいしく食べられるような納豆を発明したら
いいのでは?
そういえば、納豆を利用した「保湿化粧水」なんかもありましたよね。
不思議な納豆を、もっといろんなふうに活用できればいいですね。