● ひまわりが勝手に選んだ植物療法関係の記事一覧の目次です
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昨日からテレビなどで報道されているように、大規模な雪崩が発生し、秋田新幹線も今日一日全面運休でした。寒さは緩んでいますが、時折吹雪き模様。

下の写真左は、大豆とザーサイを合わせたおつまみ。水に漬け込んでおいた大豆とザーサイを炒めたもの。昔実家でみそを手作りしたことがあります。蒸した大豆を大きな器械に入れて、手でハンドルを回します。そうすると、前方には、いくつもの穴の開いた円盤形の鉄板があるのですが、そこからニュルニュルとミンチにした肉のように蒸した大豆が出てきたものでした。

20060211大豆ザーサイ
20060211キュウリのみそ漬け
20060211寒ダラのみそ漬け

その大豆の柔らかいねっとりした食感と、歯ごたえのあるザーサイの味が何ともいえませんでした。上中央と右の写真は、みそに漬け込んだ食材ですが、一つはキュウリ。もう一つは今の季節に捕れる「寒ダラ」です。

下の写真左は、昨夜漬け込んだゆずのハチミツ漬け。こんなふうに水溶性のものがにじみ出してきています。そのシロップにお湯を入れてゆずシロップティーの出来上がり(下写真中央)。

山に行く道はご覧のように猛吹雪。山手台という団地が遠くにかすんで見えます。

20060211ゆずのハチミツ漬け
20060211ゆずのハチミツティー
20060211吹雪模様1

ハウス、ご覧の通りつぶれていませんでした。雪の重み、本当にとんでもない重たさです。その上に綿雪がふんわりとのっかっています。

20060211吹雪模様2
20060211吹雪模様3
20060211ハウスの雪

夕方、秋田市にある郊外のショッピングセンター近くの「王将」に行ってきました。王将というお店は、ギョウザのお店で大阪がホームグラウンド。懐かしいんですよね。京都で学生時代を過ごしましたが、王将、民民(みんみん)だったかな?、いろいろな中華料理屋さんがありましたから、三十年近く前に食べたギョウザ、食べてみました。

20060211ハウスの雪2
20060211大阪王将ギョウザ
20060211大阪王将ギョウザ野菜炒め

食べてみたら懐かしい味。ただ、しょう油、酢、ラー油を入れなくても味が付いているようで、そのままでも食べることができるくらいでした。大阪王将ギョウザというよりも、秋田風王将ギョウザなのでしょうか

今日も前置きが長くなりました。昨日のサリチル酸と植物療法(
2006.02.10 サリチル酸と植物療法)の続編です。

昨日は、サリチル酸の全般的なお話が、植物療法(フィトテラピー)的な考え方をお話するのにピッタリするという事でした。

それで、今日のブログタイトルの「ヤナギナツユキアスピリン」ですが、アスピリンというお薬が出来るまでの歴史的な道のりを、ひまわり風ゴロ合わせでタイトルにしたものです。

文章よりも、アウトラインで示した方がわかりやすいですよね。

・もともと、紀元前の頃から西洋シロヤナギ Salix alba の葉が使われていたようです
・ディオスコリデスが書き表した書物にもその記述があるんですって
植物療法の歴史、中世・近代(みなみの香草屋)

・時代は変わっても、痛みを緩和するのに、この植物の「葉や樹皮」が使われていました
・1819年に、西洋シロヤナギ Salix alba の樹皮から「サリシン(salicin)」が分離される
・サリシンは、この西洋シロヤナギの Salix にちなんで命名されたそうです

・ところが、分離されたサリシンは純粋ではなかったそうです
・1827年に、西洋ナツユキ草 Filipendula ulmaria からサリシンの結晶化がなされた
・おもしろいのは、ヤナギの樹皮から発見されながらも、西洋ナツユキ草からサリシンが結晶化されたということ
・ところが、実際には飲んでみると、ものすごく苦くて「お薬」として使われることがなかったそうです

・1838年に、サリシンの分解物として、サリチル酸が発見され
・1859年に、鎮痛剤としてサリチル酸が使われましたが、これにも問題があったとのこと
・苦くなく無味であっても、胃の粘膜を刺激して、胃のむかつきや胃炎、吐き気などの問題を引き起こす

・1897年に、その問題が起こらない「アセチルサリチル酸」が開発される
・1899年に、ドイツ、バイエル社から、「アスピリン」という名前で登録したお薬が販売される

・世界初の合成新薬として、それ以降の有機化学の発展を導いてきた
・その後、このアスピリンは、心臓発作などの心臓血管系などいろいろな症状に対する薬として数々の論文と治療結果を出しているそうです
以下続きです

どうでした。歴史をたどると、こんな風に整理されるようですよ。植物の中から発見された薬理成分、その成分をいろいろ臨床で使ってみて、不具合を修正し、最終的にお薬になり、販売される、という観点からご覧いただいても「サリチル酸」とてもおもしろいですね。

ちょっとかわいそうなのが、西洋シロヤナギ Salix alba です。どうしてかって、それは、逆から足跡をたどるとわかりますよね。

発見のきっかけは、西洋シロヤナギ Salix alba でした。そして、その学名から「サリシン(salicin)が命名されたのに、最終的な「アセチルサリチル酸」の商品名である「アスピリン」が、西洋ナツユキ草 Filipendula ulmaria から命名されたことです。

西洋ナツユキ草の学名の別名は「Spiraea ulmaria」。アスピリン(アセチルサリチル酸)の名称は、サリチル酸がその由来なんだそうです。ドイツ語でサリチル酸は、「Spir saure」といわれており、それは、西洋ナツユキ草の「Spiraea(スピラエア)」からきているとのこと。

あ〜複雑ですが、そのような経過を経て「名前」や「お薬」が開発されていくんですね。大切なのは、

・アスピリン(アセチルサリチル酸)が世界で最初の合成新薬
・このことが、その後の有機化学の飛躍的な発展に寄与している
・アスピリンは、プロスタグランジンの合成を阻害することで消炎・鎮痛剤として働く
・プロスタグランジンは生体の合目的性で作られ、非常に短い時間で消滅する
・アスピリンの薬理成分は、植物から発見された「サリシン」
・植物は、一つだけの成分で成り立っているのではない
2005.07.13 総合病院で導入しているのは珍しい
(上記リンクでは、1852年にヤナギの樹皮の有効成分〜という記述がありますが、今日のブログの年代の方が正確だと思われます。間違っていればご指摘いただければ幸いです。ただ、そういう歴史的な流れで見ていただければよろしいかと思います)

ということでしょうか。


そうそう、「サリシン」と「サリチル酸」の構造式を下記へ示しておきますね。間違っていないと思いますが・・・。


20060211サリシンサリチル酸構造式

・基本になる炭化水素と官能基のセット
2006.01.22 炭化水素基と官能基
2006.01.20 精油の化学と基本骨格

・基本になる炭化水素は、ベンゼン環を含んでいますから「芳香族」
・官能基はというと、「カルボキシル基」と「ヒドロキシ基(水酸基)」


官能基を二つも持っていますよ。基本となる炭化水素のグループは「芳香族」ですが、サリチル酸を、芳香族カルボン酸類と呼べばいいのでしょうか、それとも、ベンゼン環に直接官能基の「ヒドロキシ基(水酸基)」がくっついているので、「フェノール類」というのが正しいのでしょうか。いや、フェノール性カルボン酸類といった方がいいのでしょうか。
2006.02.03 芳香成分類の名称

この続きは「サリチル酸の二面性」ということでまた後日。

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