● ひまわりが勝手に選んだ植物療法関係の記事一覧の目次です
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昨日とはうってかわり、まわりはぼやけたしまりのない空気の感覚。案の定、雪は湿っぽく、時折雨まじりの天気。今日の最高気温が 4.8 度との事なので、雪が雨に変わるライン。そんな中、秋田県内では雪崩の事故の様子が全国的に放送されていました。

下の写真、右側はテレビの画面を携帯のカメラで撮影したもの。乳頭温泉郷の二カ所(鶴の湯、孫六温泉)で、雪崩が発生し多くの被害者が出たとのことでした。とても秘境で有名な温泉地だけに犠牲者の方々の心からのご冥福をお祈り申し上げます。

20060210乳頭温泉雪崩
20060210山雪景色
20060210山帰り道

山もご覧の通り、湿っぽい雪に大変身。とても重さが増して傾斜の強いところでは滑り落ちる可能性がでてきます。実際、秋田新幹線も盛岡と田沢湖の間で雪に乗り上げいまだに止まったままの状態のようです。

上の写真中央は、帰りの道路の状態です。画面ではあまり読み取れないと思いますが、鉄道のレール、というより、二本の溝が出来上がり、中央には解けた雪の固まりがかなり高く残っています。明日の明け方には大雪になるとのこと、氷って新雪が降れば危険極まりありません。また、雪崩の危険性も大きくなります。

20060210山ゴボウロール
20060210長芋
20060210長芋のサラダ

昨日ご紹介できなかった「昨日の晩のおかず」です(上写真左)。山ごぼうを豚肉で包み込んだ料理、それにソーセージ。上写真中央は、長芋ですが、これを料理すると、長芋のサラダのできあがり(上写真右)。

20060210メンチカツと長芋サラダ
20060210ユズのハチミツ漬け1
20060210ユズのハチミツ漬け2

上の写真左は、合い挽き肉で作ったメンチカツと先ほどの長芋のサラダ、長ネギの付け合わせです。長芋の皮を剥き、四角に切りそろえて、サラダに混ぜ合わせたもの。食感と味がポテトサラダとはひと味違って、独特な風味。

上の写真中央と右側は、ユズをはちみつに漬け込んでいる様子です。

さて、そろそろ本題に入りたいと思います。

今日のブログタイトルの「サリチル酸と植物療法」ですが、サリチル酸の事が、プロスタグランジンの所で出てきていたので(
2005.12.31 体調とプロスタグランジンの関係)、見ていたら、サリチル酸を中心として、植物療法をまるまるお話できることに気がつきました。

今日は、その概要を下記の図を見ていただきながら、お話したいと思います(各項目は後日また投稿予定)。

サリチル酸とプロスタグランジンとの関係で重要な事は、

・消炎鎮痛剤としての働きは、プロスタグランジンの生成を抑制し
・結果として、不快な症状を軽減してくれる

ということでした。

それでは、サリチル酸は何から化学合成することができたのかというと、そのきっかけは「植物」からでした。その関係を示したのが下の図、時計回りでスタートすると、「植物から発見」という見出しがそうです。
以下続きです

20060210サリチル酸と植物療法図

・植物からの発見

ヤナギの樹皮から「サリシン」という物質が発見され、体内でサリチル酸が合成(サリシンが分解、酸化)されることから、合成物質としての「サリチル酸」が人工的に作られるようになったそうです。

同じようにサリシンを含む植物素材で有名なのが「西洋ナツユキ草 Filipendula ulmaria 」です。これは、植物療法(フィトテラピー)でもよく使います。ところが、この「サリチル酸」には、副作用として、胃のむかつきや胃炎、吐き気などが伴ったそうです。

・消炎・鎮痛剤

そのため、改良が加えられ、サリチル酸をアセチル化(アセチル基)することで、その副作用を抑えることのできる「アセチルサリチル酸」という消炎・鎮痛剤が誕生しました。それが「アスピリン」という薬です。とても有名ですよね。

・プロスタグランジンとの関係

そのアスピリンが、どのように炎症や痛みを鎮めてくれるのかという作用機序は、プロスタグランジンの生成ととても深い関係にあります。この点については
2005.12.31 体調とプロスタグランジンの関係を参照いただければ幸いです。

「アセチルサリチル酸」は、アラキドン酸からプロスタグランジンへの合成を手助けしてくれる酵素「リポキシゲナーゼ」の活性を阻害して、結果として、炎症や痛みを引き起こすプロスタグランジンの合成を阻害する働きがあるそうです。

また、「福田安保理論」によると、生体の歪みとして引き起こされた症状(病気)を、自らの力で治そうとしてプロスタグランジンが生成され(生体の合目的性)、局所ホルモンとして、組織の修復に働く「治療のためのプロセス」として、そして、その過程では不快な症状が引き起こされることを述べています。この点につていも
2005.12.31 体調とプロスタグランジンの関係を参照いただければ幸いです。

・化学的構造

「サリチル酸」は、その化学的な構造から、芳香族の炭化水素骨格(ベンゼン環を含む)に、官能基である「カルボキシル基」と「ヒドロキシ基(水酸基)」がくっついた形をしています(詳しくは後日)。そのため、芳香族カルボン酸類、あるいはフェノール類という二つの顔を持っている化合物といわれています。

また、その「サリチル酸」の化学的な構造から、その誘導体(サリチル酸から導きだされる物質)から、サリチル酸メチルとアセチルサリチル酸を合成することができます。

天然の植物素材である精油の中には、サリチル酸メチルを平均含有量 95 〜99%をも含むものがあります。それは「ウィンターグリーン Gaultheria procumbens」です。これは、精油の化学では「フェノール類」とはいわず、「エステル類(芳香族エステル類)」に分類されています(
2006.02.03 芳香成分類の名称)。

化学的な合成の過程では、エステル化することで(エステル結合)「サリチル酸メチル」が合成されます。

一方、アセチル化で、化学合成された物質が「アセチルサリチル酸」すなわち「アスピリン」ということになります。

いずれの項目も、後日説明を少し加えて、改めて投稿したいと考えています。

どうですか、サリチル酸を中心に「植物療法(フィトテラピー)」の概念が見えてきませんでしょうか。身体の原因がどこにあり、どうしてそのような症状を呈しているのか、そのためには、何を選択し、どのように使用したらよいのか。また、薬を使ったらいいのか、植物素材を使ったらいいのか、そのデメリットとメリットは・・・などなどを、この「サリチル酸」を中心として見えてくる気がします。

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