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昨日からの雪は、またもや会津盆地を真っ白に染めました。今年も今日を残すのみとなりました。今年06月04日から、ブログをご覧いただき、そして、コメントをいただきどうもありがとうございました。とても勇気づけられました。来年もどうぞよろしくお願い致します。

いままで、植物の化学からプロスタグランジンまでを投稿し、プロスタグランジンと福田安保理論との関係をみてきました。

2005.12.27 プロスタグランジンと栄養素
2005.12.25 プロスタグランジンと福田安保理論
2005.12.21 脂肪酸とプロスタグランジン
2005.12.18 二次代謝産物の落とし物
2005.12.17 植物の二次代謝産物
2005.12.02 植物と人間の代謝の仕組み

今日は、とても複雑な機構で働いているプロスタグランジンを、生体がストレスなどを受けることによって交感神経緊張、アドレナリンの過剰な作用、血管・免疫系、体調不良へ、そして、その治癒の過程で働く、副交感神経、アセチルコリンの作用、プロスタグランジン・血管系、体調の回復へと働く仕組み(福田安保理論)との関係から、さらに見てみたいと思います。

20051231つらら 20051231ソバ 20051231こつゆとイカニンジン

つららが見事(上写真左)。触感がとてもおいしかったおそば。会津の料理に欠かすことのできない「こづゆ」と「イカニンジン」(上写真右)。定番ながら、NHK の紅白歌合戦を見ながらこのブログを書いています。
以下続きです

2005.12.25 プロスタグランジンと福田安保理論でもお話しましたが、もう少し、実際の病気が発症する仕組みとその治癒過程で活躍する「プロスタグランジン」、そのプロスタグランジンを産生する酵素の阻害をする薬、「消炎鎮痛剤」、「ステロイド剤」、そして、ハーブや精油との関係をお話したいと思います。もちろん、栄養素においては、2005.12.27 プロスタグランジンと栄養素でお話した通りです。

下記図は、交感神経の緊張が引き起こす生体内での「血管・免疫系」、体調の悪化と、その体調を回復しようとして働く「血管系・プロスタグランジン」、組織修復とを表しています(図は、薬をやめると病気は治る、安保徹著、マキノ出版から引用したものです)。

20051231病気の悪化と治癒

もちろん、交感神経の緊張だけで体調の悪化が起こるわけではなく、このブログでも何度もお話している通り、適応力の範囲ということで、その適応力を越えた状態が「交感神経の緊張」、適応力があるのに、使わない状態が「副交感神経優位」ということで、どちらの状態でも病気が起こりえる状態を示していました。福田安保理論は、この考え方で、病気の90%を説明できるとしています。

下記図は、

・ストレスなどによる交感神経の緊張から引き起こされた「体調の悪化を」改善しようとして副交感神経優位となり
・そのための治癒過程にプロスタグランジンが関与している事、
・その「プロスタグランジン」はアラキドン酸から、2系統のプロスタグランジンE2を産生し、治癒過程に携わってはいるものの、不快な症状(痛み、痒み、発疹、発熱など)を呈しているため、
・その症状を軽減しようとする薬がどの過程で作用しているのか

などを表している図です。前回と同じように、プロスタグランジンはとても複雑であり、すべてを表現しているわけではありませんが、ひまわりの乏しい知識で、まとめてみました(前回の図に新しい情報を追加)。その点をご考慮に入れていただき、参考にしていただければ幸いです(間違いがあればご指摘いただければ幸いです)。

20051231プロスタグランジンの働き

ポイントは、

・プロスタグランジンE2は、アラキドン酸から産生されますが、その前に、リン脂質からアラキドン酸を遊離させるのに、「ホスホリパーゼ」という酵素が働く
・その酵素の作用を阻害するのが「ステロイド剤」
・さらに、アラキドン酸は、プロスタグランジンH2を経て、トロンボキサンA2、プロスタグランジンE2、プロスタサイクリンを産生する
・アラキドン酸からプロスタグランジンH2が産生されるとき、「シクロオキシゲナーゼ」という酵素が働く
・その酵素の作用を阻害するのが「非ステロイド剤(アスピリンなどの消炎鎮痛剤)」

・プロスタグランジンE2は、炎症を抑える作用と炎症を引き起こす作用の両方を備えている

・プロスタグランジンが、産生されたときに生じる不快な症状を発症させないための「薬」がどの過程で作用するのかを理解することが大切
・ところが、この過程で生じる不快な症状は、生体がダメージを受けて回復期にある「生体の合目的性」を持った治癒過程であることを理解することも大切

・福田安保理論では、「ステロイド剤」や「消炎鎮痛剤」は、治癒過程を阻害し、交感神経緊張の状態へ再び導いてしまう
・ハーブや精油は、これらの過程においてとても有用な手助けをしてくれる
・プロスタグランジンの材料は、「不可欠脂肪酸」
・その不可欠脂肪酸は、必須脂肪酸より産生されるが、その合成にはいろいろな困難がつきまとう

・動脈硬化や血栓など血管系に関係するプロスタグランジンは、2系統の「トロンボキサンA2」と「プロスタサイクリン」で、そのバランスがとても大切
・また、3系統で産生されるプロスタグランジンE3もまた、血小板の凝集阻害作用として働く

・2系統ではあるが、別の合成過程で、5-リポキシゲナーゼという酵素によって、「5-HPETE(5-hydroperoxy eicosa tetraenoic acid:5-ヒドロペロキシ エイコサテトラエン酸(読みが間違っているかもしれませんが)」を基本に産生される「ロイコトリエン」は、ヒスタミンと比べて非常に強力な作用を有している
・このロイコトリエンは、トロンボキサンA2の合成を促進し、プロスタグランジンE2(炎症を引き起こす)の合成を抑制するため、呼吸器系の疾患に非常に重要な意味を持つ。

などになるでしょうか。

とても複雑で難解な作用を持つ「プロスタグランジン」ではありますが、その働きをダメージを受けた組織の修復過程で理解し、福田安保理論とともに考慮することはとても重要な意味を持つかと思います。

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明日元旦の最低気温の予報(会津地方)が、なんとマイナス 7度とのこと。本当にびっくりする雪の量と最低気温です。皆様、くれぐれも初詣には、寒さに対する対策と雪のある地方では、すってんころりんにご注意を。

そして、新しい、希望の多い年を穏やかにお迎え下さい。

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・「2005.12.31 体調とプロスタグランジン」

2005.12.27 プロスタグランジンと栄養素
2005.12.25 プロスタグランジンと福田安保理論
2005.12.21 脂肪酸とプロスタグランジン