薬の作用を考えたとき、例えば、アスピリンがプロスタグランディン抑制因子として働き、炎症を鎮める作用を示し、炎症や痛みとしての症状を和らげ、苦痛を軽減するのに役立ちます。

ところが、福田安保理論では、病気は、異物(自己抗原も含む)と、それを生体から防御する免疫細胞とのせめぎ合いの結果生じ、ある時は、免疫細胞が優位になることで、生体に不快な症状を呈する場合もあるともいわれています。

したがって、病気の症状に対して、異なる二つの考え方のアプローチがあります。一つは、薬を使い、プロスタグランディン抑制、炎症を鎮めること。もう一つは、プロスタグランディンは、痛みや発熱を引き起こすが、自然治癒力を高め、治癒のために働きかけるものなので、むりに抑制しないで、安静にして治癒を待つこと。

そもそもプロスタグランディンは、交感神経の緊張を和らげ、副交感神経を優位にして血流を増加させ、自然治癒力を高めることで病気を治癒の方向へ導き出すために働く局所ホルモンともいわれています。しかしながら、そのことは同時に、痛みや発熱を起こさせる要因にもなります。

いろいろな「消炎鎮痛剤」の多くは、このプロスタグランディンを抑制する働きで作用するといわれています。これはまた、副交感神経を優位にするプロスタグランディンの働きを、わざわざ交感神経へ傾けることであり、自然な治癒過程を妨げて病気そのものを治癒へ向かわせるのを妨げているともいえると思います。

交感神経へ傾けることは、血管系を収縮させ、血流を悪くし、顆粒球の増加、そして、活性酸素により組織老化や組織破壊へつながってしまうからです。

一方、植物の場合はどうなのでしょうか。同じように、プロスタグランディンを抑制し、炎症を鎮めてくれますが、その効果は緩和に働き(強い働きは、アルカロイドのように、薬となります)、薬のような弊害は生じないのではないでしょうか。

緩和に働き、治癒過程で起こる様々な不快な症状を緩和させ、交感神経へ急激に傾けない仕組みが、そこにはあるのではないでしょうか。それだけではなく、他の成分がいろいろな弊害を打ち消す働きを持つ緩和な植物も選択肢の一つとして考えられると思います。

もちろん、不快な症状や、急性の疾患が引き起こされた場合には、薬は非常に有効です。「メッセゲ氏の薬草療法」でメッセゲ氏はこんなことをいっています。

「私の経験によりますと、せいぜい木の鉄砲ぐらいで十分なのに、大砲をぶっぱなして自分の病気をおいはらおうとする人があまりにも多いのです。銃砲は、ほんとうに必要になったときだけしか使わないほうが賢明です。植物は小型で軽い武器です。そして、私のみるところでは多種多様な病気によく効いてくれます。」と。