昨日、免疫学問答の本のお話をしました。免疫学で有名な安保先生の本!!で購入した本ではなかったんですが、それが始まりとなって、現在の植物療法の基本的な概念に「自律神経と免疫の法則」を取り入れる結果となりました。

自律神経と免疫の法則、この法則自体の基本骨格はとてもシンプルで単純明快です。しかし、その内容は、奥が深く非常に難しい学問体系です。私が勉強した概略は、次の通りです。(古い免疫システムを除いています)

・人間の病気の本質を、自律神経と免疫細胞の働きで考えてみる。
・自律神経は、もともと、エネルギーの消費のために働く神経である交感神経と、エネルギーを蓄えるために働く神経である副交感神経にわかれる。
・また、自律神経は、人間の情動に左右される神経系でもある。
・自律神経と連動して、交感神経型で働く「顆粒球」と、副交感神経型で働く「リンパ球」がある。

以上が
基本骨格 で、この概略をもとに、実際の病気との相関関係を考えてみると、

● 交感神経緊張が続くと


(1) 血管が収縮
・組織に老廃物が蓄積され、痛み物質や発ガン物質がたまる
(2) 心拍数の増加や緊張、興奮
(3) 交感神経の支配を受けている「顆粒球」の増加
・活性酸素の増加により組織老化や組織破壊による炎症
・化膿性の炎症
(4) 副交感神経の働きが低下
・リンパ球の減少
・排泄、分泌能力の低下

● 副交感神経が過度に優位となると


(1) 血管が拡張
・うっ血状態となり、有害物質や抗原が蓄積
(2) リラックス過剰
・気力低下、食欲亢進
・エネルギー代謝の低下
(3) リンパ球の増加
・抗原に反応しやすくなる
(4) 交感神経の働きが低下
・排泄、分泌能力の亢進
・知覚過敏

以上のように、交感神経緊張、または副交感神経優位でいろいろな症状の病気が、自律神経と免疫細胞の連動と働きによって説明することが可能です。

病気の病名や、その原因を複雑な観点から考えるのではなく、自律神経の働きによって、血管系である循環器系や免疫細胞のアンバランスが原因で病気が引き起こされるという点で、非常に簡潔な理論、「病は気から」です。

昨日の記事のコメントにも書きましたが、このように自律神経と免疫細胞が連動して病気の本質が「自律神経と免疫の法則」で明らかになりつつあります。

植物療法の基本となる「体質学」で、気質特性というのがありました。この気質は、脳のいろいろな部分で活動している「神経伝達物質」ととても深い関係にあると思われます。これら神経伝達物質の脳内での挙動によって、覚醒や睡眠をはじめ、情動など心の状態が作り出されていることが分かってきました。

体質の違いに気質特性の違いがあるなら、情動や感情によって体調へもたらされる影響は体質によって違い、それらが、体調の傾向を作り出しているとも考えられます。それは、自律神経を介して免疫細胞へ影響が与えられているからです。結果的に、病気の原因を自律神経と免疫細胞にまでさかのぼるということは、まさに体質にまでさかのぼることと同じことになります。

今後、このような観点から、体質によって体調傾向、肌傾向、気質特性を理解し、症状として起こっている状態や、その症状を引き起こしている情動との関係を勘案した、トータルな意味での精油やハーブなどの植物素材の使い方をご紹介したいと考えています。

これが、私の考えている植物療法であり、これは「免疫学問答」から始まったことでした。